L-カルニチンのアセチル誘導体であるアセチル-L-カルニチン(ALC)は血液脳関門を通過して[43]、中枢神経系(CNS)に広く行き渡ります。
ALCは、CNS代謝において広範な役割を果たします。
ALCは、アセチルコリン(適切な脳機能に不可欠な神経伝達物質)の合成とエネルギー産生反応の両方に対するアセチル基の供給源として働きます[44]。ALCは、さまざまな特性を持っており、その中には老化の過程や神経変性に対する回復作用あるいは防御作用も認められています[45]。ひとことで言えば、ALCは、ヒトの老化に際して、脳機能の維持にきわめて重要な役割を果たすということなのです。実際、ALCの補給はある種の条件下での精神的な衰えを低減するのに役立つ可能性があることを数多くの信頼できる臨床研究が示しています[46,47,48,49]。食品としてL-カルニチンを摂取するとヒトの体内では酵素の働きによりアセチル化反応がおこり、必要量のアセチル-L-カルニチンが作られます。
注目に値するのは、慢性疲労性症候群 (CFS)の人では血漿L-カルニチン濃度が低いという報告があることです[41]。 L-カルニチンは、細胞活性化において数多くの役割を果たしているため、このことは重要な発見です。 実際、これらの研究調査はまた、血清L-カルニチン濃度が高いことは、身体機能状態が良好であることと相関することを示しました。 CFSの患者のエネルギー代謝の改善においてL-カルニチンが果たす明白な役割が論文で報告されています[42]。
疲労の症状は人によりそれぞれ異なります。 長期間続くものもあれば、短期間で終わるものもあります。時を選ばずに現れることもあれば、予測できることもあります。 疲労の影響を減少させるためにできることはたくさんありますが、 L-カルニチンの補給もその有効な手段の一つであることが種々の研究例から示されています。