L-カルニチンは、母子の健康においてきわめて重要な役割を果たしています。
妊婦は、一時的に一種のL-カルニチン欠乏的な状態にあります。このことは、
分娩時の血漿L-カルニチン値が妊娠していない女性の場合の1/2に減少していることによって分かります[33,34]。
このリスクを低減するために、Lohninger教授(オーストリア、ウィーン大学)は、妊婦が毎日、一定量のL-カルニチンを補給するよう推奨しています。
ヒト新生児では、主要な代謝的変化は、グルコースが主なエネルギー燃料である胎児期から、 グルコースに替わるエネルギー燃料として脂肪酸とケトン体が働く子宮外での生活へと移行する間に起こります。 さらに重要なことには、L-カルニチン生合成能は、赤ちゃんではまだ十分に発達していないため、 必須栄養素のひとつであると考えられています [35]。 したがって、赤ちゃんは血液および組織内のL-カルニチン値を高めるために外的供給源に大きく依存しています。 幸いなことに、母乳には元来L- カルニチンが含まれています。 一方、L-カルニチンは大豆タンパク質には検知できないほどの微量しか含まれず[37]、 牛乳由来の調合乳は、加工される間にL-カルニチンをある程度失います。これらを考え合わせると、 L-カルニチンを含有しない大豆由来調合乳を与えられた満期産の新生児において、血清L- カルニチン値が低く、 血清遊離脂肪産値が高いと報告されたことは、十分理解されるところです[36]。
現在、欧米において大豆ベースおよび牛乳ベースの新生児用調合乳の双方で、L-カルニチン強化はかなり一般的となっています。

