2007/11/01 カテゴリ: 食の安全 : 

食を揺るがすいろいろな次元の問題(6)その4 

−現代人の欲求の足もとを見た悪徳テクノロジー、詐欺の横行−

これまで、「ミルクを1滴も使わないミルク」、「豚骨を全く使わない豚骨スープ」などの話を書きました。

これらは、しかし合法的な例であり、そこに特に法律に触れるような問題はありません。

ただ、消費者がそれをどの程度知っているかに疑問が残るのではないかということ、また消費者としても安易に安いものに飛びつかず、表示を確認するとか、ちょっと添加物のことに関心を持ったほうがよさそうだとか、そこのところが言いたかったわけです。

今回はそれらと似て非なるケースについて考えてみます。

即ち、違法製造行為がこっそり行われており、いくら消費者が通常の注意を払っても知りようがないと思われる場合です。

今年は実に多くの食品安全に関する報道がなされましたが、私がびっくりして印象に残っているものとして、トウモロコシの芯を粉末にしたものに紅色の染料を混ぜて「偽トウガラシ粉」として販売している業者があるという話、あるいは理髪店の毛屑を原料にしてつくられた醤油が作られているといったことがあります。

これらは日本の話ではありませんが、豚の心臓に他の鶏の屑肉などを混ぜてミンチとし、牛ミンチとして称して販売したミートホープ社、あるいはつい最近摘発された「偽比内地鶏」事件(仕入れ値が1羽約2000円の比内地鶏に代わり、20〜30円の「廃鶏」と呼ばれる、卵を産まなくなった親鳥を使った燻製製品を長年にわたって製造していたとされる)では私たちの身近にも気味の悪いものがけっこう出回っているらしいことを知らされたという点でショッキングでした。






もしトウモロコシ原料のトウガラシ粉(のようなもの)、牛肉の入っていない牛ミンチ(のようなもの)をはっきりそれと表示して販売するならばこれまでに見た植物性クリーム、人造豚骨スープと同じこと、特に咎められるようなものではないのかもしれません。

しかし、実際には偽物を本物と偽り、かつ本物と同じ値段でそれを販売するならば、これは明らかな法律違反です(報道では不正競争防止法違反容疑〈ミートホープ〉、食品表示法および日本農林規格〈JAS〉法違反容疑〈比内鶏〉)。

ミートホープ社の場合、その他に雨水を解凍に使用していたとか、色の悪い肉に血液を混合して改変したなどといわれていますが、要するにこれらはすべて「コストダウン行為の行き過ぎ」といえます。

と同時にこれらは一種のテクノロジー(製造技術)とも関連しており、ミートホープ社の場合2006年に「挽肉の赤身と脂肪の混ざり具合を均一にする製造機」の開発を称えられて文部科学大臣表彰創意工夫功労賞をもらったりしています。

だから技術力そのものはむしろ高いとさえいえます。

私は違法行為を容認することにはもちろん断固反対ですが、「安い原料をおいしく加工して利用する技術」が進歩することはむしろよいことだと思います。

しかし今の場合あきれたことに、安いものを安く売っていたのでは儲からない、屑肉をブランド肉として高値で販売するからこそ儲かるのだ、というわけです。

競争のルールそのものが違うのですからまじめにやっているところが太刀打ちできるわけがありません。

故にこそ不正競争防止法への抵触だということになるのでしょう。

詳しくは今後の捜査と司法判断に委ねなければなりませんが、今回の問題は不正競争防止法以外に詐欺罪などにも関連してくることと思われます。

その他今年は「不二家」事件にはじまり、「白い恋人」、「赤福」、「吉兆」などで賞味期限の遵守違反というケースも数多く摘発されました。

ここで起こっていることはそれほど複雑なことでもなく、報道を受け止める側はまたか、とばかり少々「食傷気味」ですらあります。

ただ「赤福」は私の出身である関西の小学校の修学旅行の定番お土産としてほぼ全員がこれを買い、「不二家」は誕生日やクリスマスに何度もお世話になった思い出、「白い恋人」も北海道の駅の売店や空港で出発前にあわただしく買った記憶などが鮮明で、むしろ驚きはそこにあります。

資本力も十分であるはずの老舗の大企業にしてこれであれば、世の中に隠れた不正はいかほどのものか?

品質管理は利潤の追求の前にはかくも脆弱なものであるかと改めていやな気持ちを覚えます。

次回の更新は11/8(木)です。