2007/11/22 カテゴリ: 食の安全 : 

食を揺るがすいろいろな次元の問題(6)その5

−今後 日本社会が切実に取り組むべき難しい課題−
        大量の食品が今日も廃棄されている

賞味期限切れ製品や食べ残しなど、食品関連の産業から発生する食品廃棄物は年間1100万トン(2006年度「食料・農業・農村白書」)に及ぶのだそうです。

食料自給率が40%を下回ってしまったわが国の食糧事情が孕んでいる大きな矛盾の一つといえるでしょう。








今年7月30日付けのAERA誌にとても興味深い事例が紹介されていました。

チャールズ・E・マクジルトン氏が理事長を務めるNPO法人「セカンドハーベストジャパン(2HJ)」では賞味期限が残っているにもかかわらず、商品の回転の都合でスーパーやコンビニの棚から撤去されるような食品を寄付してもらい、需要のあるところに無償で届ける、という活動をしているのだそうです。

また、コンテナ船で輸送中にダンボール箱の一部がへこんだり、端がつぶれてしまったりすることがかなり起こります。

しかし梱包の外側の話なので、中の品物には影響がない。

そういう場合でも中身の商品を販売することは通常難しいわけですが、2HJではこのようなケースにも無駄にならないように需要のある先に斡旋を行うということです。

 日本の食料品のうち、残されたり廃棄されたりするものは全体の約3割にも上るといいます。

私もふだん外国の人たちと品質の話になると、このあたりに微妙な感覚の差といったものを感じることがしばしばあります。

先に触れたとおり、日本では外装のドラム缶やダンボールが少しへこんだり傷がついたり汚れたりしている場合、それを受け入れないケースが普通だと思われます。

しかし、外国では内容物を保護する目的をもったものが想定される範囲の衝撃を受けて少々の損傷を受けたとしても、中身に問題がないのならばそれでよいではないか、という立場に立つことがしばしばあります。

このような違いは乗用車などの扱いを見てもわかります。

自動車にはバンパーという部分が前後に取り付けられていますが、これはつまりbumper(緩衝器)なわけで、この部分が文字通り衝撃を和らげる設計になっています。

それで外国では込み合った駐車場などではここはぶつけてもよいものとして気にしない人も多いようです。

しかし我々日本人にはバンパーのちょっとした傷も放ってはおけません。

このような神経の細やかさを過度というべきかどうか、これはまさに国民性の問題なので、一朝一夕には行かないのかもしれませんが、食糧問題として積み重なれば結局かなりもったいないことになってしまうと思います。

 今年、食品業界で頻繁に取り沙汰された不祥事問題のキーワードの一つは「賞味期限切れ食品」に関するものでした。

「赤福」にせよ「白い恋人」にせよ、賞味期限を決定したのはその企業自身であるはずですが、自分自身で決めたその期限を自らが違反してしまうということに対しては、非常に理不尽な感じがします。

またそのようにしてごまかした賞味期限によって不当な利益を得るなどということについては断固として異を唱えたいと思います。

したがってこの観点からは、賞味期限を経過したものは「きっぱりと処分する」ということがただひとつの正しいアクションであると表明することになります。

このことに例外はないと、目下のところそう思います。

しかしながら、そのようなことが相当長い期間常習的に行われていながら、それらの製品を利用した消費者からはさしたるクレームもなく存続してきたという事実が一方に存在します。

つまり、実質的に問題がないのならば・・・。

ここにきて、「ごまかしてやれ」ではなく「もったいない」という気持ちが捨てきれないものとして残ってくるのですが、有限な資源としての食糧という観点からすれば、この問題はまだ根本的に解決していない、というより、本当は極めて解決の難しい、これからの新しい課題なのではないでしょうか。

次回の更新は11/29(木)です。