2008/01/17 カテゴリ: メタボリックシンドローム : 

今年話題となるはずのこと

   − メタボリックシンドローム スローガンから実行へ −

今年の4月から「特定健診・保健指導」が始まります。

企業の保健組合などは、40歳から74歳の人々を対象として生活習慣病の予防に向けた健診・保健指導を行うことが義務付けられます。

国はこの新制度によって2012年度までにメタボリックシンドロームの予備軍を10%減少させ、医療費を抑制するという目標を示しています。

2013年度以降にはこのメタボ予備軍を減らすことに成功した企業に対し「特典」として高齢者医療費の負担を軽くし、逆に成績の上がらない企業にはコストの追加負担を求めるということです。

ともあれ今年春以降の健康診断ではメジャーを使っておなか周りを測る、という風景が一般化するはずです。












以前にも書いたことがありますが、従来は「太っていることが生活習慣病の原因になるらしい」というごく漠然とした相関関係が、「腹周り何センチでどういうリスクがあり得るか」というわかりやすい因果関係で示されるようになったということがメタボ診断基準の優れたところだと思われます。

 しかしその実施を前にして、今もってこの特定健診という制度には賛否両論が渦巻いています。

 反対派の人たちの主な論点としては、

(1) これは国が国民のプライバシーに介入するものだ(いつどうやって死のうが病気になろうがそんなことを国に心配される筋合いはない)。

(2) 企業などに「特典」や「罰則」のようなことを設けることによって「太った人」は不当な扱いを受け、差別につながる。

(3) そもそもこの「85センチ」という診断基準の根拠は薄弱である。

「ちょい太り」くらいがちょうどいいという説もある。

といったところが代表的なものです。
 
それに対し「賛成派の見解」というのはあまり見たことがありませんが、おそらく一定の認知活動の末に国によって実施が決定されたということで、それ以上付け加えることがないということなのかもしれません。

私はというと、次のように考えています。

(A)国民皆保険という世界にも稀な制度はすばらしいので、できればこれを維持してほしい。

しかしその制度にだらだらと依存することは結局何のためにもならない。

(B)高齢化が進む社会でその制度が維持できなくなることも理解できる。

(C)ある疾病に対する予防法があるのならば、我々はそれを実践した方が得策である。

(D)病気を予防することによって最も恩恵を受けるのは本人ならびにその家族である。

(E)「いつ死のうが人の勝手」は確かにそうだが、誰でもそう「きれいに死ねる」とは限らない。

(F)メタボリックシンドロームの果てにあるのは動脈硬化にはじまる脳機能の不全であって、それが長期の寝たきりにつながる。

その状態で周囲に依存しないでいることは困難である。

つまり、「メタボ予防」は「きれいに死ねない状態」を回避するための方策だといえる。

(G)仮にメタボを全国民が克服できたとしても、人はそれ以外の何らかの疾病にかかって死ぬ。

当然ながら疾病には予防しきれないものも多い。

そういう病気にかかった人に対しては手厚いケアを傾けてくれる国家であってほしい。

私は、「85センチが絶対正しいかどうかを突き詰めるよりも、大体そういうことと納得して自分の腹をひっこめるような生活をすればいいんじゃないか」と思っています。

それを国が制度で強行してもしなくても関係ないじゃないか、という意味です。

「国」といえば、昨年は社会保険庁の年金サボタージュだとか公務員の法外な厚遇、薬害訴訟などが話題となり、こういう観点から日本国家をみれば途方もなく情けなく、何とかしなければ大変なことになるという危機感を覚えます。

しかし、ことメタボに関しては「85センチ」の妥当性に目くじらを立て、反証することに血道をあげるよりはだらしない惰性的食生活を改めたり、少しは運動を心がけたりということを無理のない範囲で実行してゆけばよいと思うのです。

そのことにコストはかからず(むしろコスト減であり)、最も得をするのは本人だからです。

むしろそういった健康法を推奨できる根拠が挙がってきているのに、それを国民の福祉に役立てようとしない国家があったとすればそちらの方が問題だと思います。

 ただし「メタボ対策」としてやみくもに絶食したり激しい運動をしたりすることはよくない、あるいは偏食やサプリメントに依存することもいけない、このことも同時に言わなければならないことは重要な点です。

こう言った以上、「おまえはあれこれ言わずに腹をひっこめたらいいなんていうけど、実際には何をどうすればいいんだ?絶食も激しい運動もしないで、いったいどうすればいいんだ?」という疑問に回答しなければなりません。

 私はこの点についてはまだ十分実践的な解決策が示されていないと思っており、議論をするならばそこにこそポイントを絞るべきだろうと考えています。

そもそも私がこのようなブログで長々と色々なことを書き続けているのもその具体的な方法をすっきりした形で示してみたいともがいているからに他なりません。

次回の更新は1/24(木)です。