2008/04/03 カテゴリ: つれづれ : 

「風が吹けば桶屋が儲かる」=「地球温暖化対策が進めばアミノ酸が足りなくなる」

最近グリシンという製品が品薄になって価格が高騰している、という話を聞きました。

グリシンというのは私たちの身体に必要なアミノ酸の一種です。

この価格がなぜ高騰しているのか?ということについて少し調べてみました。








グリシンはある農薬(除草剤)を製造する際の原料として使用されています。

これは除草剤なので、ふりかければどんな植物も死滅します。

しかし、一方この農薬をふりかけられても平気で生きてゆける作物が作られており、いわばこの除草剤と作物をセットで用いれば不要な雑草だけが駆除され、必要な作物を難なく得られることになります。

このような作物はいわゆる遺伝子組み換え作物の代表例です。

遺伝子組み換え農作物については、国によってこれを認めるところと認めないところがあり、目下のところ食糧作物としての普及は限られています。

しかし、地球温暖化対策としてエタノールなどのバイオ燃料を生産する目的であればこういう作物は世論の反対なく受け入れられることになります。

というわけで、昨今バイオ燃料の原料としての遺伝子組み換え作物の作付けが世界的に活性化しており、そこで使われる除草剤の需要が格段に高まります。

それがグリシンというアミノ酸の供給が世界的に逼迫している理由だというわけです。

(除草剤に耐えられる性質<除草剤耐性>をもった遺伝子組み換え作物については、その安全性に問題ありとする見解がある一方、十分に安全であるとする科学的なデータもあります。これは多分に、人間のもつ感性にも絡んだ問題なので、必ずしも科学で割り切れるとは限らない大きな課題ですが、ここではその議論には触れないこととします。ただ、除草剤耐性をもった作物を作ること自体は、それが便利であるという以外に、使用する農薬量が通常の作物よりかなり少量で済むという「環境にやさしい面」もあることは言っておきたいと思います。)

ともあれ、「風が吹けば桶屋が儲かる」という小話さながらに、このグリシンという一般には聞きなれない物質の供給が逼迫している状況は意外なところで私たちの生活に密着した問題なのだということを象徴的に示しているように思われます。

考えてみれば、原油、食品、動物飼料の高騰といった昨今リアリティー高く取り上げられるようになった切実な状況はすべてこの「風が吹けば・・・」式の複雑な連環において理解することができ、またそのようにしなければ理解できない問題だといえます。

次回の更新は4/10(木)です。