2008/05/15 カテゴリ: 健康のための運動 : 

運動に関するあれこれ

数日前ある会合で、田中誠一先生(浜松大学教授・東海大学名誉教授)のご講演に参加する機会がありました。

先生はスポーツサイエンスの専門家として東京オリンピック、モントリオールオリンピックのコーチを務められ、長嶋茂雄氏や、室伏重信氏、中島悟氏といったトップアスリートの指導をしてこられた方です。








機知に富んだお話には目からウロコが何枚も落ちる思いがしました。

そのうち、いくつかのことをここに書き留めておきたいと思います。

ふり返ってみればこれまでこのブログでは、健康のことを考えるときに主に食に関することに触れることが多かったのですが、それは私が運動を軽んじているからではなく、健康における運動というものがどういうものだかいまひとつよくわからなかったからです。

たとえば、運動とスポーツというものの違いは何かという初歩的なことがよくわかっていない状態でした。

しかし、今回のお話を伺ってみて運動とスポーツという言葉は十分に定義されず、感覚的に用いられているらしく、素人の私にわからないのも無理がないということがわかりました。

たとえば、抗加齢に貢献する運動処方としては、次の4つが提示されています。

(1) 関節の可動範囲を広げるもの

(2) 骨格筋を育成するもの(さらにこれは筋力、筋肉のパワー、筋肉の持久
   力などに小分類される)

(3) 呼吸器・循環器系(肺、心臓、血流、血管状態)を改善するもの

(4) 体組成(筋肉量や体脂肪量、あるいはその比率)を改善するもの

こう聞けばなるほどと思いますが、多くの人にとって「運動せよ」と言われたら、歩くとか走るとか、あるいはジムに行ってもそこにある機器(自転車こぎとかトレッドミルとか)を適当に選んでやってみる以上のことはなかなか思いつきません。

また、アスリートのためのトレーニングというものも1930年代以降にいくつか代表的なものが開発されていて、インターバルトレーニング、レジスタンスエクササイズ、マラソントレーニング、ストレッチングなどと言えば何となく私のような門外漢にもイメージできるものがあります。

これらはいずれもこれを提唱した人、適用したスポーツなどが研究暦としてきちんと残されているということです。

しかしながら、これら聞いたことのありそうなトレーニングが前述の4種類の運動とどういう関係にあるのかということになるとよくわかりません。

田中誠一先生によればまさにそこのところにまだ課題がたくさんあるということで、現在行われている「健康のための運動」と称するものの多くは本来アスリートのために開発されたトレーニング手法を単に薄めたような形でしばしば提供されているそうです。

つまり、ある選手がある競技に優勝するための訓練(極端な話「死んでもいいから金メダルを!」などという笑えないトレーニング方法もたくさんあるとのこと)が一般人の健康のためによいとは限らないということです。

というわけで、まずは運動とスポーツという言葉を使い分けることくらいからはじめるのが最初の一歩かもしれません。

次回の更新は5/22(木)です。