2008/08/14 カテゴリ: スポーツ : 

ものすごい肉体の力と集中力を目の当たりにして(北京五輪観戦記)

北京オリンピックが始まりました。

日本人選手のメダルもじわじわと増えてきて、だんだん盛り上がってきました。

私は今回特に、いろいろなスポーツの種目ごとにどういう類の力がどういう結果に結びつくのかを見るようにしています。

ウエイトリフティングは私など見ているだけで疲れてきそうなスポーツですが、これは筋肉に一瞬の力を込める集中力の勝負だと改めて思いました。

あの重いものを持ち上げるために必要なものはもちろん筋力でしょうが、そういうものは試合の当日に急に手に入るものではなく、どんなに鍛え上げても最終的には最後の瞬間を制する精神の力がなければどうしようもないということだと思います。

それにしても営々と鍛錬してきた結果がものの数秒で決するというのはものすごくドラマチックです。

柔道やレスリングは相手のある競技ですが、これも勝負は一瞬、よりファジーで予測がつけにくい中での戦いとなります。

一昨日(8月12日)の谷本歩実選手のような鮮やかな一本勝ちも全くの一瞬のこと。

しかし、数分ある試合全体としてみればその間の集中力を支える肉体的なエネルギーはものすごいものに違いありません。

体操競技ではこれもミリメートル単位、ミリ秒単位の精密度が要求されますが、最後に問題となる着地の出来栄えなどは全く本人にも予測もコントロールもできない境地でしょう。

競技時間の長短を問わず、勝負がある一瞬に賭けられるということ、またそのための数年以上にわたるトレーニングの地道さ、そういったことは等しく共通しています。

全く厳しいと思うことは、どんなに修練を積んだとしても結局は一瞬に集中力と筋力、瞬発力を爆発的に発揮しなければならないという点です。

人間の肉体に許された極限のレベルで追い込まれるこのパフォーマンスの特徴はあらゆる競技に共通のものと思われます。

それにつけても私が特に驚いたのは、一昨日行われた北川麻美選手(競泳女子)の200m個人メドレー準決勝の光景です。








このレースでは2分12秒18(日本記録)をマークしていながら、同タイムを出したハンガリーの選手と同じ8位でした。

8位タイでは決勝戦ができないということで、もう一度2人で「泳ぎなおし」。

こういう仕組みを私は初めて知りましたが、スイムオフというのだそうです。

素晴らしいのはそこでの泳ぎっぷりで、2分12秒02という日本記録更新をやってのけ、相手を完全に圧倒したことです。

もちろん日本新記録ということですから「自己ベスト」。

これを連続して大舞台で成し遂げていることになります。

テレビではあまり頻繁に放映されませんでしたが、私はそこにある集中力に心底感服しました。

きっと肉体的な能力ではその、ハンガリーの選手と極めて近いか、あるいは劣っていたかもしれません。

しかし、ともかくも大差で連続的に圧倒する力量の背景にはやはりある種の集中力が発揮されたに相違ないと思います。

ただもう一つ思うところ、この種の競技ではやはり身体エネルギーのもととなるATPがどれだけ持続するかが決定的な要因だと思われ、ATPが枯渇した状態ではいかに精神力がこれをバックアップしても個人メドレーを最後まで支えることは理論的にはできないと考えられます。

稀にそういうこと(精神が肉体を理論外のところで操るような現象)があったとしても、そういう場合はゴールのあと失神状態になってしまうと思われます。

しかし北川選手はインタビューにも非常にしっかり答えていたので、これはやはり肉体のエネルギーも充実していたということだろうと私は想像しました。

ところでこのようなATPの補給はたぶん、クエン酸などのエネルギーに変わりやすい栄養成分を十分に補給することが理論上有効ではないかと考えられるところですが、はたして北川選手はどういう栄養補給でこの稀有な勝負どころを乗り切ったのか、これは本当に興味深いところです。

次回の更新は8/21(木)です。