2008/09/18 カテゴリ: 食の安全 : 

混乱と混沌

食の偽装問題は結局後を絶たず、何月に何があったかを覚えていられない感じになってきました。

今回の事故米・汚染米問題はうなぎのようにそれ単独で消費者に届くという単純なものではなく、主食類、菓子類からアルコール飲料に至るまで非常に広い範囲の製品の原料として流通する点でやっかいな事例です。








また賛否両論あるのでしょうが、事業者名が国から公表されるという事態が混乱を増幅しているようでもあります。

ここで考えたいのは、事実としてその流通食品から特段体調に問題を起こした人が見当たらないということです。

アフラトキシン(黄変米毒素)は確かに毒性の高いことで有名な物質ですが、例えばアルコール飲料などに加工された場合、その飲料本体にどれくらい含まれているかを分析してみることが重要だと思われます。

液状食品ではもし毒素が混じっていたとしても発酵時大量の水で均一に希釈され、あるいは蒸留されますので、最終的にはほとんど残留がないあるいは基準値を超えない可能性が高いと思われます。

従って、そういうケースには全品引き上げなどの措置に入る前に客観的な品質確認が行われる必要があったのではないかと思います。

そういうことをせずに多数の業者名が公表された場合、その情報は不安をあおったり、不当な不買行為につながったりするだけで、実際の効果に乏しいはずです。

先のミートホープ社の場合もそうでしたが、くず肉を捨てずに美味しく加工して利用すること自体はむしろ好ましい話です。

同様に、外交上の都合により事故米を廃棄せずに海外から一定量買い上げ、これを食用と無関係な素材(のりの原料など工業用用途)として利用することも理にかなっています。

問題は、それら破格に安い原料をあたかも通常の商品であるかのように偽装して暴利を得るという詐欺行為そのものにあります。

この行為こそは大いに糾弾されるべきことであるに違いありません。

これら不正業者がここ2年ばかりの間に相次いだ食品偽装問題をどういう心境で見ていたのかというところは理解に苦しむところです。

「明日は我が身」と思っていたのか「自分は見つからない」と思っていたのか。

そう考えてみれば、今回の三笠フーズ以外にこれから先、明るみに出る偽装リスクがあちこちに潜んでいるのではないかと不安になります。

サブプライムローンの破綻問題が片付かない状況で今度はリーマンブラザーズが倒産するという経済事件が起きました。

これらの問題は金融問題で食の安全とは直接関係がありませんが、大きな源流が毛細血管のような支流をたどって世界中に蔓延し、その規模や影響が簡単に推定できない、解決の方法がすぐに見当たらない、風評が不安を増幅する、こういう点で食品問題とよく似たところがあると思いました。

「混乱」という言葉が、時間をかければ解決できる可能性のある事態を指すとすれば事故米問題やリーマンブラザーズ問題はそんな方途も知れない「混沌」という状況に近いのかもしれません。

次回の更新は9/25(木)です。