2008/11/20 カテゴリ: 食生活 : 

お酒の飲み方について

大腸内視鏡検査は大腸ポリープや大腸がんなどを確実に発見できる手法として重要です。

40代中盤になった頃に、私も初めてこれを経験してから今年2回目の健診を受けました。

ともに何も見つからずほっとしました。

ところで、この検査を行う時には2リットルのペットボトルに満タンになった下剤水溶液を一時間ほどの間に飲み干さねばなりません。

これは消化管を空っぽにするためにどうしても必要なことなのですが、実際やってみるとなかなか大変なものです。

そもそもこれだけの量の液体がそんな短時間に飲み込めるのかどうかが信じられない感じです。

もちろん大半が飲んだ後から「すぐ出て行く」わけなので納得は行きますが、それほど楽ではありません。

しかしながら、これだけのものを短時間に飲むことができるのはそれが体内にほとんど吸収されず、身体を素通りするだけのものであること、つまり安全なものであることがわかっているからです。

全く同じではありませんが、例えばごはんやキャベツなどにしても相当量をまとめて食べても身体に大きな異常を生じることはなさそうです(08.10.02ブログ)

ところが、ちょっと塩辛いラーメンのスープなどを一気に食べた場合、私なら顔が紅潮し頭がややボーっとしてきます。

これは塩分によって血圧が急激に上昇するからだと思われます。

いったんこうなると、あとで一生懸命水を飲んでもなかなか収まってくれません。

若い頃にはそういうこともなかったのですが、ここ数年は(明らかに年齢のせいで)、実際そういう経験をすることが時々あります。

一杯のラーメンに例えば5グラムの食塩が含まれているとすれば、その濃度の「塩化ナトリウム」が短時間内に流入し、吸収されることによって血管収縮のシグナルが急激に発信された結果一過性の高血圧状態となるのです。

しかしながら、同じ量の食塩をもっと薄めたり、時間をかけて食べたりした場合にはそういう反応は起こりません。

逆に水なしで5グラムの食塩を飲み込んだりしたらかなり危険な状態になるでしょう。

つまり「一日にどれだけの塩分を摂取したか」といった目安も重要ですが、それのみならず、「それをどういう速度で集中的に摂取したか」ということがかなり大きな要因になるということです。

このように、食品成分には炭水化物や水などのように、たまにであれば一気に大量を食べてもそれほど問題にならないものと、食塩のように体調が悪くなってしまうものがあります。

因みに多くの医薬品はむしろこの「一気呵成」を狙って一定の身体効果を狙うものですので、摂取量を守ることは効き目と安全性の双方の観点から重要になってきます(サプリメントは実はこの点にさまざまなパターンがあり、議論が相当複雑になります。またいつか改めて考えてみたいテーマです)。

一気に摂るかどうかが問題になる最も身近な食品にアルコール類があります。

いわゆる「一気飲み」などという言葉があるように、一気に流し込むことで身体にある種の変調を来すことを楽しむ向きもあるのでしょうが、これはもちろんかなり危険な行為です。



理論的にはアルコールも食塩と同じで、時間をかけて摂れば全体としてかなりの量を飲めるものと考えられます。

急性アルコール中毒というのは体内のアルコール濃度がある感受性域を超えたところから身体が緊急事態を発令するのですが、時すでに遅し、正常な状態から逸脱した脳を始めとする身体の各部がコントロール不能の状態に陥ってしまう状態です。

それに対し、感受性域の範囲を超えないレベルで少しずつ飲んでいれば、流入してきたアルコールは適度な速度で吸収された後、たくましい酸化酵素の力でアセトアルデヒド→酢酸という順番で代謝され、身体全体としては特に苦もなく処理を引き受けてくれます。

つまり、吸収速度と酸化速度を上回らないペースで飲むことがコツだということになります。

空きっ腹で飲まないほうが良い、一気飲みしないほうが良い、といったやり方が勧められるのはこういうわけです。

もちろん人によってアルコールの吸収のしやすさや酸化酵素の強さには差があります。

お酒を飲み始めた学生時代になどにはこれがよくわからず、しばしば暴走して失敗を繰り返します。

長じてさほどの「粗相」がなくなるのは、経験的にそういう計算が感覚的にできるようになるからだと考えられます。

チャンポンにすると悪酔いする、日本酒やワインなどの醸造酒はウイスキーや焼酎のような蒸留酒に比べて二日酔いしにくい、といった通説がありますがこれらもたぶん同様のこと、つまりアルコールに対する感受性の閾値(しきいち:それ以下ならば反応しないがそれ以上になると反応するというレベル)をどれだけ超えやすいかということに起因するのではないかと思われます。

日本酒やワインなどの醸造酒は水やソーダなどで薄めて飲むことがありませんので、常に十数度のアルコール度数があり、これをある速度以上で流し込むことは、度数が数パーセントのビールやウイスキー、焼酎の水割りを飲むのに比べれば恐らく瞬間的にでもその閾値を超える確率はより高くなります。

これが「醸造酒は二日酔いしやすい」という現象の原因でしょう。

「チャンポン悪酔い説」については、たぶんその中に日本酒やワインが混在しており、これが「閾値超え」を招きやすいのです。

それに飲み放題などでは度数の低いものも高いものも一緒に飲んでしまいますから、ペースは速いものに引っ張られる傾向となるでしょう。

この理屈から行けば、意外にアルコール濃度が高いカクテル類は口当たりもよく、速度オーバーになりやすいので要注意。

そしてウイスキーやブランデー、焼酎などの蒸留酒であってもこれらをロックやストレートでぐいぐいやっていれば、確実に二日酔いになると思われます。

これから忘年会のシーズンが始まりますが、自分の身体と相談しながら上手に楽しみたいものです。

「飲むお酒の濃さとスピード」「吸収速度と代謝速度」この二つがポイントです。

次回の更新は11/27(木)です。