2009/02/19 カテゴリ: L-カルニチンについて : 

発見後104年 まだまだ続くL-カルニチンの「新発見」

科学研究にとっては、「世界でいちばん最初に発見した」「世界でいちばん最初に作った」というようなことがいわば存在価値の生命線となります。

つまり、他の誰かがすでに見つけてしまったこととか、解明したこと、作ってしまったというようなことと全く同じことを発表しても価値はないとされます。

したがって、研究を始める時には文献調査、つまり、自分がこれから取り組もうとするテーマが、これまでどの程度まで論文として発表されているかを知ることが必須の手続きとなります。

研究を始める時だけではなく、研究の途上にあっても、常に世界中の研究者の動きに目を配っておき、自分の研究内容への影響を考えてゆかなければなりません。

これは当然のことと思われますが、十数年前まではインターネットもそれほど発達しておらず、さらに昔は「抄録誌」という研究のサマリーだけを集めた電話帳のような速報便覧を手で検索しながら行われていましたので、実際に全てをリアルタイムで網羅することはなかなか大変なことでした。

コンピュータによる検索は、1980年代には図書館のサービスセンターなどで利用できましたが、専門担当の人に慎重にキーワードを伝え、出てきた文献件数を瞬時に判断しながら次の検索のアクションを決めなければなりませんでした。

これはまさに時間との戦いで、ぐずぐずしていると何千円にも金額がかさむだけで、肝心の情報はろくに得られないという悲しいこともしょっちゅうでした。

今から15年ほど前のこと、文献情報を記録したCDが定期的に送られて来るシステムが私のいた研究所にも導入され、びっくり仰天しました。

これには1960年代頃の情報も載っていましたし、毎週だか毎月だかに送付されてくるものには最新の論文に関する情報が網羅されていました。

これなら時間を気にしないで何度でもじっくりと検索することができます。








これは『PubMed』という名の医学生物学関連のデータベースでしたが、十数枚のディスクを傍らに置いていることは、図書館で万巻の書庫を所有しているのも同然という状態になりました。

さらにそれには遺伝子やアミノ酸の配列に関するデータベースコーナーがあったり、ある文献に関連する他の重要な文献に一気に飛んだりするリンク機能も備わっていました。

これは夢のような体験でした。

しかしそれとて当時は個人で所有するものではなく、研究所や研究室単位でかなりの金額を支払って購入していました。

それから十数年、今ではその『PubMed』データベースは何と無料で( ! )インターネットアクセスできるようになっています。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/)

世の中、少し前まで夢にも考えられなかったことは山ほどありますが、この文献検索に関する革命的な利便性の向上も、21世紀の驚嘆すべきシステムの実現に数えてよいと思います。

ためしに、今『PubMed』で “Carnitine”というキーワードを入れて検索してみると、このキーワードを含む論文数は10,311件発表されていることがわかります。

因みに今年に入ってまだ50日も経っていませんが、すでに106件の論文が出ています。

多くは基礎研究に類するものですが、きちんとした評価の関門を突破して発表された論文の各々が「新発見」「新規解明」に満ちていて、粛々と世の中に発信されています。

L-カルニチン研究の歴史は100年以上と古いものですが、これが現在最も活発に研究されている物質のひとつであることはこのような情報増加速度から見ても大いに推察されるところです。  

次回の更新は2/26(木)です。