2009/11/05 カテゴリ: 健康 : 

「アンチエイジング」は決してできないことですが・・・(3) 「閉店延長型」の加齢戦略はその人の晩年を充実させる

前回、私たちの加齢という現象をレストランの閉店になぞらえてお話してみました。

「閉店延長型」と名付けてみましたが、今回はそれをもう少し目で見える形にして考えてみたいと思います。

ここでお示しするグラフは横軸に年齢を、縦軸に生活活動度を表わしています。

この生活活動度というのはきちんとした定義ではありませんが、例えば「生物学的にどのくらい元気であるか」というような感じのこととご理解ください。
















今、仮に、成長期も終わって身体構造が確定し、生物学的に最も元気な時期を20代であると考え、20代の活動度を100とします。

それが、40歳代になると3割下がって70くらいになる、と考えます。

それをグラフで表わすと青い太線のようになりますが、20代は個人個人のライフスタイルの違いがあっても、それが身体能力にあまり大きな差を及ぼしません。

つまり運動量だとか摂取カロリーのちょっとした違いは「若々しい生命力」がその大きな度量で吸収してくれるわけです。

しかし、40代以降の年代ではライフスタイルの相違が活動度をかなり左右するようになるはずです。

ここでは特段に何の工夫もしないで加齢していった場合(これが「ケアなし」と書かれた青くて細い折れ線です)、90代で寿命が尽きると仮定しています。

つまり90歳で「完全閉店」となるわけです。

逆に活性酸素を抑えながら生活したりする「スローエイジング」あるいは「閉店延長型」で行った場合には人間の最大寿命である120歳を上限と仮定しています。

「スローエイジング」のパターン(ピンクの折れ線)では「ケアなし」に比べて衰退が緩やかになりますので、齢を重ねるにつれて(活動度は徐々に低下するのですが)ゆっくりである分、長持ちします。

一方、積極的な運動をするなどして「閉店延長型(黄色い折れ線)」を40代以降で選択した場合には、一旦減少し始めていた筋肉が増加に向かい、メタボの危険因子である内臓脂肪などは減少します。

これを例えば10年継続することによって活動度が70から80になると考えます。

そうすると、「活動度80」というのはおよそ30代後半の活動度に対応しますので、これが見かけ上の「若返り」ということになります(黒い破線の部分です)。

もちろんそういった積極的な運動を生涯続けるわけにはいきませんから、やがては終末である120歳に近づいてきます。

それでもその衰えはかなり最後までやってこない可能性があると思われます。

仮に80代のところで比べてみたとしたら、この3タイプには非常に大きな活動度の差があることになります(ここでの活動度は便宜的相対的なものですので、あくまでも感覚としてつかんでください)。

こういうグラフを試しに描いてみてとても興味深いことがありました。

仮にある人が80代で天寿を全うすると考えましょう(グラフの赤い破線)。

そうするとこのグラフでは「ケアなし」の場合、活動度は20代の10 %程度になりますが、「スローエイジング」では40 %弱、「閉店延長型」では70 %ほどに保たれています。

ところで70代80代でフルマラソンを完走される人は実在するわけですが、その方たちは実際並の20代30代よりも活動度は大きいと確かに言えるのです。

ここで2007年の日本人の記録を例にとって、ちょっとクイズ風に見てみましょうか。

64 歳男性のフルマラソン第1 位記録は? 2 時間53 分05 秒。

81 歳女性フルマラソン第1 位記録は? 5 時間58 分22 秒。

85 歳男性フルマラソン第1 位記録は? 4 時間59 分34 秒。

(出典:ランナーズ7月号別冊付録「フルマラソン1歳刻みランキング記録集」)

これはほんとうの話です。

今回のグラフで見ている活動度の10とか40、70という数字そのものはごく大雑把な仮定に過ぎません。

しかし重要なことは「スローエイジング」や「閉店延長」という努力をした場合には生涯を終える直前まで生活の質(QOL:quality of life)を落とさずに生活できるということです。

80歳を超えて寝たきりになってしまえば、結果的に「スローエイジング」に近くなるのかもしれませんが、「寝たきりであと10年」というのではなかなか大変なことになります。

いわゆる「ピンピンころり」という言葉がありますが、「天寿を全うする直前までQOLを高めていること」はとても大事なことであり、「閉店延長型」はそれを実現するためにどうすれば良いかということに一つの答えを与えてくれるものだと思います。

次回の更新は11/12(木)です。