2011/06/02 カテゴリ: 男性の不妊 : 

L-カルニチンのあるところに脂肪燃焼あり

ある仕事をする人が集まるところには決まった仕事があります。

逆に、ある仕事が行われているところにはその仕事をする人々や道具、設備などが集まります。

これを身体に当てはめて考えてみます。

例えば、骨格筋では筋肉運動を行うために大量の脂肪が燃焼して常時エネルギーを作り出しているわけですが、そういうところには脂肪燃焼の仕掛け役である L-カルニチン も他の部位よりもたくさん含まれています。

成人一人の身体に含まれるL-カルニチン量はおよそ20g位だと考えられていますが、このうちの19gほどは筋肉 に含まれています。

血液にも常に一定濃度レベルのL-カルニチンは含まれていますが、血管を流れる血液(とくに血清)が 脂肪からエネルギーを生み出す必要性は少ないので濃度も低く、総量としてもかなり少なくなっています。

1 kg当たりの量で比べると、筋肉には血液中の100 - 200倍ものL-カルニチンがあります。

また心臓では拍動のエネルギーの7割が脂肪から供給されていると考えられますが、ここでは骨格筋よりさらに20%も濃い濃度でL-カルニチンが含まれています(全体としてL-カルニチンの95%以上が骨格筋に含まれるのは、そのL-カルニチン濃度の高さとともに、骨格筋が人体で最大の臓器だということにも理由があります。心臓はせいぜい握りこぶしくらいの大きさです)。





このように見てくれば、 L-カルニチン の「働き」と「量」の関係はある程度説明がつきそうです。

つまり「L-カルニチンのあるところに脂肪燃焼あり」ということです。

興味深いことに、精子細胞の存在するところ(精巣、睾丸、副睾丸、輸精管、精嚢、精液など)には筋肉と比べても10倍も高い濃度でL-カルニチンが含まれています。

同じ体液である血液の実に2,000倍という驚くべき高濃度です。

精子は長い距離を泳いで卵子のいるところまで到達しなければならないのでそれだけエネルギーの消費が多いのだな、と思われるかもしれませんが、実際精液に含まれているものは果糖という糖質やクエン酸など、エネルギーに素早く転換しやすい「短期決戦型燃料」なのです。

それでは何のためにそんなに濃いL-カルニチンが含まれているのでしょうか?

きっと脂肪を燃料にして何らかの「長期戦」が行われているはずです。

次回はその長期戦が何であるかについてお話したいと思います。


次回の更新は6/9(木)です。