2012/05/31 カテゴリ: L-カルニチンについて : 

なぜ動物だけがL−カルニチンをもっているのか

もともと使いにくいものをなんとか使いこなすことで格段に効率が高まるということがあります。

火や電気を使うことなどは人間だけが行っている生存の効率化手段だといえます。

偉大な「使いこなし」として忘れてはならないものに酸素と脂肪を利用したエネルギーの産生が挙げられます。

太古の地球には酸素がなかったために、燃料となる物質を体内で燃やしてエネルギーを作ることができませんでした。

また酸素があったとしてもこれをそのまま用いることは「活性酸素」という化学的凶器と闘わなければならないので、安易に使うことはできませんでした。

それを解決するためにまず細胞の中のミトコンドリアという燃焼炉以外のところでは決して燃料を燃やさないという重要なルールと構造がつくられました。

またあの手この手で酸素から発生する活性酸素を除去する方式も編み出されました。

それでようやく酸素を利用できるようになりました。

いったん酸素がつかえるようになると生物活性は格段に高まり、生き物とくに動物は海を泳いだり空を飛んだり陸上を走ったりすることができるようになりました。

ブドウ糖は水に溶けやすい安全な物質なのでこれを使うことは比較的容易なのですが、ここから取り出せるエネルギーには量的に限界があります。スタミナが続かないのです。

そこでよりコンパクトな長持ちバッテリーである脂肪を利用しようとなったわけですが、この脂肪はほとんど水に溶けないため、簡単に血液に流すこともできません。

おまけにわずかながら体液に溶けこんだ脂肪(遊離脂肪酸)は石鹸のような界面活性という性質を発揮してしまいます。

デリケートな生体膜にとっては活性酸素とならんで脂肪もじつに恐ろしい化学的凶器となのです。

脂肪がミトコンドリアの膜に直接接触すると膜は針で突き刺された風船のように破裂してしまいます。













原発ではないですが、こうなると発電機能が停止してしまうのですから細胞は停電状態に陥ります。

と同時に放射能ならぬ活性酸素が飛び出してきて家屋である細胞そのものも破壊されてしまいます(アポトーシス)。

ですからこの脂肪という凶器をしまい込んでおく保管具や鞘(さや)のようなものが常に必要となるわけですが、それが中性脂肪とL−カルニチンです。

中性脂肪は使わない状態にある脂肪をしまっておく格納具のようなものです。

一方L−カルニチンはその脂肪を取り出して燃料として発電所に運び込むときに「危険物取扱主任」のような働きをします。

必要なときに必要なだけ脂肪燃料をくべる役割をする。それがL−カルニチンの主な働きです。

酸素と脂肪は細胞の中のミトコンドリアの中でのみ出会い、はじめて燃焼できるようになります。

それらを利用できるようになったことで、動物は地球上のあらゆるところに生息場所を広げて行けるようになりました。

L−カルニチンは動物の進化の中でそういう役割を演じた物質でもあります。

L−カルニチンが専ら動物の筋肉に含まれており、植物にほとんど存在しない理由はこんなところからも理解できます。

次回の更新は6/7 (木)です。