2012/11/22 カテゴリ: 健康 : 

食事と知識

昔の人、たとえば江戸時代の人にとっての食事と現代の私たちの食事はどのように違うでしょうか。

もちろん今の方がはるかにバラティーに富んだ内容の食事をしていることは明白です。

栄養価についても比較にならないでしょう。














そういうちがいはたくさんあると思うのですが、私が注目したいのは「生物である自分自身」と「生物である食物」に関する知識の違いという点です。

江戸時代の人はカロリーということも、ビタミンやミネラルなどということも全く知らずに食事をしていました。

つまり、そこに何が含まれているかを考え、その成分が自分の身体にどのように役立つかというようなことはほとんど考えようがなかったということです。

もちろん野菜を食べればおなかの調子がよくなるらしいとか、ごはんを食べすぎたら太るとか、そういったことは経験上わかっていたことでしょう。

けれども、そもそもおなかの調子とは何かということ、太るという現象がいったい何に基づくのかといったことは知らなかったと思います。

そんなことを考えていると、私たち現代人はもはや何でもわかっていると慢心しそうになります。

しかし実際のところは私たちもまだまだ知らないことだらけなのかもしれません。

例えば、私は肉という食品について、それがタンパク質の塊であり、そこに飽和脂肪酸が豊富に含まれているということを40年前にはすでに知っていました。

けれどもそこにL−カルニチンが含まれているということは知りませんでしたし、もちろんそうやって摂取するL−カルニチンが脂肪燃焼にはたらく化合物であるということも(仮に知っていたとしても)意識したことはありませんでした。

また、サケの切り身やスモークドサーモンを食べた時、そこにアスタキサンチンというカロテノイドの一種が含まれていることは30年前にはほんのひとにぎりの天然物化学者しか知らないことでした。

そしてその天然物化学者の人たちにしても、そのアスタキサンチンが余分な活性酸素を効果的に消去してくれる物質であることはごく最近日本で解明されるまで世界中の誰ひとりとして知りませんでした。

アスタキサンチンを摂らんがために石狩鍋を食べようとかL−カルニチンが足りなさそうだからジンギスカンを食べよう、などとばかり考えているのはいかにも無粋にすぎると思いますが、少なからずそういう知識によって健康が増進しているところはあるはずなのです。

朝ごはんを食べるかどうか、寝る前に空腹のときにはどうすべきか、長距離走の前にはどうやって栄養状態を整えたらよいか、こういったことの多くが理屈でわかっている、そんな状況は昔の人に比べて現代人が圧倒的に進歩した点の一つだと思われます。

さらにこれから5年先10年先にあっと驚くような食事の秘訣がたくさんわかってくる可能性もまた非常に大きいことでしょう。


次回の更新は11/29(木)です。