2014/08/28 カテゴリ: L-カルニチンについて : 

「脂肪燃焼だけじゃない、L−カルニチンは糖も燃やす」という話

昨今はSTAP細胞のことなどで、巷の話題にも学術論文というものに対する関心が高まっています。

あの一件で、一流誌に論文が掲載されるというのは研究者にとってはそれほどにも険しく、重要なことだということが今さらながらよく理解できます。

どんな学術論文にも大なり小なり「新しい発見」が述べられているわけですが、それがより核心に近い発見、発明であればあるほどそれに続く研究に大きな影響が与えられます。

その影響の強さは、その後に書かれた論文に「どれだけ引用されたか」によって評価されます。

ところでL−カルニチンなる物質を発見した、という論文が出たのは1905年です。

調べてみると、この発見はロシアとドイツの研究者によってなされたことがわかるのですが、全く別の国の研究室で同じ年に偶然それが報告されているというのは興味深いことです。

またL−カルニチンの構造が化学的に決定されたのは1927年です。

これについて書かれた論文はドイツの学術雑誌に報告されており、その著者が日本人であるという事実にも私は常々ひそかに感激しています。

それ以降ながらくこの物質がどんなはたらきをしているのかはよくわからなかったのですが、どうやら脂肪燃焼の仕事をしているらしい、という論文は1962年に発表されています。

その事実はやがて生化学の教科書にも常に書かれる事実となり、今日に至っています。

というわけで、L−カルニチンの研究史を語る場合にはこれら1905年、1927年、1962年の論文は特に引用される核心的な存在だといえます。

そういう事実が積み重なって現在日本では「L−カルニチンは脂肪燃焼に関係する」ということをご存知の一般の方が人口の60%以上おられるという状況です(40−50代の女性では80%以上です)。

このように専門家のみならず一般の人にも有名になる事実の発見というのは本当にすごいものだと思います。

ところで2011年以降「L−カルニチンは糖の燃焼にも役立っている」ということを証明した論文が相次いで発表されています。

私たちの生命活動のもとになる二大エネルギー源は糖と脂肪ですが、この両者のどちらを使うのがよいのか?ということを状況に応じて判断し、選択しているのがL−カルニチンのもうひとつの役割であるらしい、そういうことがわかってきているのです。

お金でいえば糖質は手軽に使いやすい現金、脂肪は引きだすのに少し手間のかかる定期預金にもたとえられます。

コンビニでおにぎりを買うのにまさか定期預金を引き出す人はいないでしょうが身体の中で「それに似たこと」が行われる場合が実際にはあり得るのです。

たとえば「糖尿病」というのはそういう状態にあります。

そういう疾病の予備軍が日本だけで2000万人もいると聞けば、ちょっと心穏やかではいられません。


次回の更新は9/4(木)です。