2014/10/30 カテゴリ: 健康 : 

赤血球はDNAも放り出して仕事!仕事!

最新の論文によればヒトひとりの細胞の数は37兆2千億個だということです。

一方赤血球の数はおよそ20兆個。なので身体の細胞の半分以上は赤血球である、ということについて前回書きました。

またその赤血球の通り道である血管をつなぎ合わせると約10万キロ、地球2周半にもなるらしいのですが、ためしに地球と月の間の距離で考えてみますと、それはおよそ38万キロ。

故にわずかヒト4人分の血管をつなげば月まで届いてしまうということになります。

次に、ものさしの目盛1ミリを想像してください。

一辺が1ミリメートルのサイコロを作ったとしますと、この容積が1マイクロリットルになります。

嫌われ者のダニやノミというのはだいたい身長1ミリメートル以下のものが多いですから、もしそのサイコロにそういう生物を入れてあげると狭い目のお風呂にひとり(1匹)が入れる、という感じになります。

ところで赤血球ですが、この1マイクロリットルの容積になんと500万個も入っています(女性はやや少なく400万個程度です)。

その、ワンサカある赤血球が地球2周半もの細長いルートを120日間隅々まで往来します。

ポンプである心臓がその循環力の源泉になっており、一日にこれが数万回も拍動することによって赤血球を流しています。

赤血球の寿命である120日では数百万回にもなりますね。

都合120日の間に身体の中を20−30万回(地球周回なら数十万回!)も循環することになります。

気の遠くなるような数の赤い細胞が、気の遠くなるような長距離を循環する光景はもう私たちの想像力を超えています。

しかも、彼らはただ「流れている」だけではなく文字通り生死を決する重要な仕事をしています。

赤血球は肺で受け取った酸素をあらゆる身体の細胞に届け、「酸素を使用した後のゴミ」ともいえる二酸化炭素を回収して肺に届ける、そして酸素と交換してまた旅立つ、という単純な作業を間断なく繰り返しています。

この仕事に必要な物質がヘモグロビンという化合物ですが、実際赤血球はこのガス交換の仕事をこなすために大量のヘモグロビンを詰め込まれた袋とも言えます。

その徹底ぶりはすさまじく、赤血球は「細胞」とはいえ「核」がありません。

つまりあらゆる細胞が備えているはずの遺伝子情報まで赤血球は放り出してしまい、ほとんどすべてヘモグロビンだけを宿しながら仕事をしているのです。

120日ほどたってくると細胞の表面にある「糖鎖」という突起物がわずかにすり減ってきます。

この表面がすり減った赤血球だけが肝臓の細胞に呼び止められて「収監」され、肝細胞の中でものの20分ほどで消化されて一生を終えるというわけです。

生きているということは息をしているということですから酸素を吸って炭酸ガスを出すという動物の生命の根幹を担う赤血球、またその通り道である血管を愛おしくいたわってあげることは本当に大切なことだと思えてきます。


次回の更新は11/6(木)です。