2015/09/24 カテゴリ: 食生活 : 

「複雑な味がわかること」は思ったより重要なこと

舌にはいわゆる五味を感じる受容体があります。

五味とは甘味、塩味、苦味、酸味、うま味のことです。

味覚については今でもわからないことが多く、つい最近アメリカでは脂(あぶら)のうま味というものを発見(定義)したというニュースを聞きました。

脂といのは「月へんに旨い(うまい)」と書くので漢字がすでに相当むかしにそういうことを指摘していたということもわかります。

仮に味覚が5種類あるとして、目下のところはこの味覚を感じる細胞は個々に別々のものであり、そのまま脳の味覚を感じる中枢に独立の導線(神経)で繋がれていると考えられています。

脳の中でこれらの味が混合されて一定の味として感知されているということです。

これはあたかも赤、青、黄という三原色が交じり合ってさまざまな色が脳に感じられる事情と似ています。

単純でわかりやすい味は主として子供が好むもので、いわゆる「大人の味」というのは簡単にはわからないものです。

ワインやコーヒーなどの味が複雑であることはよく知られるところですが、多くの日本食にはそういう「大人の味」が少なくありません。

最近の研究によりこのような複雑な味というものは実は舌だけではなく小腸や大腸のような消化管でも見分けられているかもしれないということが明らかになりつつあります。

見分けられた味(食成分)に関する情報が脳に送られ、その情報をもとに脳から別の臓器に必要な指令が出されて行くという仕組みです。

シンプルな味に慣れ過ぎると味覚はマヒして微妙な味がわからなくなってしまいますが、消化管における味の区別もそのようであり、多彩な成分に対する感受性はシンプルすぎる食成分に慣れてしまうと複雑で微妙な内臓コントロールを実行する能力まで萎えてしまう可能性が指摘されています。

一日30種類の食材を食べることは現代栄養学が掲げるひとつの実践戦略ですが、これは当初多様な栄養素がからだに必要だからという意味で示されたものでした。

ところが今日の知見に照らすと多彩な食材を摂取することは舌の味気別能力のみならず消化管の感受性をも高める力があるということになります。

からだの感受性を若々しくみずみずしく保つ一つの秘訣は様々な食材を少しづつ食べ、その滋味を味わうということでもあるということのようです。

お彼岸も過ぎ、食欲の秋を迎えました。

改めておいしいものをたくさんお楽しみください!


次回の更新は10/1(木)です。