執筆者の紹介

王堂 哲
ロンザジャパン社勤務。

L-カルニチンに限らず、すぐれたサプリメントがきめ細かく研究され、正しく用いられながら日本人のQOL向上に役立つことをテーマとして活動している。


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2015/11/12 (9:00 am)

身体の中の品質管理部門って?

昨今の生命科学が力を入れて究明しようとしている分野に「品質管理」があります。

工場では設計図やレシピに基づいて製品が作られます。

基本的には正しい設計図に従って適正に製造作業をしていれば万事うまく行くはずなのですが、近ごろ違反建築などでも問題になっているように「本当にきちんとミスなく作れているかどうか?」に目を光らせていなければシステムとして完結したとはいえません。

生命活動は細胞の核に収められている膨大な量の遺伝情報から一糸乱れずつくられる数千種以上にも上るタンパク質がその根幹をなしています。

まず設計図であるDNAは紫外線や環境ストレスなどによってしょっちゅう傷つけられています。

遺伝子の品質管理では設計図の傷を修復する仕組みがはたらきます。

遺伝子(DNA)からはそれを鋳型にしたメッセンジャーRNAというネガフィルムのようなコピーが作られますが、コピー(転写)の過程でもミスが生じやすいため逸早く見つけて修正する必要があります。

次にネガフィルムから最終製品であるさまざまなタンパク質の原型が出来てくるのですが、原型の段階ではまだ折る前の折り紙のようなもの。

きちんと作動する形に折り上げてゆく必要があるのです。

「折り方」についてもミスがないかどうかが常に監視されており、できそこないの製品は廃棄されます。

このようなタンパク質製造工程での品質管理部門にあたるところが細胞の中の小胞体という場所です。

また不要になった細胞を処分するときには細胞の中のミトコンドリアという発電所にあたる部分が「計画的な暴走」をおこすことによって消滅させてしまいます。

細胞消滅(アポトーシス)によって常に新しい細胞を維持することが可能になりますが、この場合は「ミトコンドリアの品質管理」と呼ばれています。

というわけで、工場での各工程には品質管理部門の役割をする見張り役(シャペロンという名前です)が工程ごとに配備されていて、不良品と合格品をえり分けている、そんな驚くべきことが24時間身体の中で働いてくれているのです。

品質管理が甘くなってくると病気がおこることもありますので、そこに着目して新しい治療法を開発して行こうという動きもあります。

ちなみに「遺伝子の傷の修復」が「傷つきの速度」に追いつけなくなる場合、これがガン化や老化という現象だと考えられています。

この遺伝子修復のしくみを解明した3人の英米の研究者に今年度のノーベル化学賞が贈られました。

今後さらに「品質管理」というキーワードをめぐってたくさんのノーベル賞級の研究が出てくることが予想されています。

品質管理という仕事はもの作りそのものにも増して大切なしくみだということですね。


次回の更新は11/19(木)です。

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