カテゴリ : 栄養素の常識・非常識・「脱」常識 : |
2018/02/15 (9:00 am) |
今から250万年くらい前に私達人類の祖先は肉食をおぼえました。 それから後に火を使いはじめ、食物を調理して食べるようになりました。 火の使用は道具の使用、言語の使用と並んで人類が他の動物(類人猿)と異なる点ですが、特に調理を習得したことで身体の状況までが大きく変化してきたようです。 茹でたり焼いたりすることで食材は柔らかくなり、咀嚼が楽になり、消化が良くなり、雑菌が消化管に侵入しにくくなったり、と様々な変化が生まれます。 また病院で寝たきりになってしまった人に対しては流動食、経腸栄養食などが処方されます。 胃に穴を開けて栄養物をフィードする胃ろうなどは、人類の食の歴史上もうそれ以上進みようがないくらいの食品の究極の形態とも言えます。 先日ゴリラ研究の第一人者、京都大学総長の山極寿一先生のお話を聴講しました。 驚いたことに動物園で飼育されているゴリラの死因のトップはなんと歯周病だということです。 対して野生のゴリラには虫歯がない、と。 これははっきり食物の違い、つまり動物園では野生よりもはるかに柔らかくて咀嚼が少なくても済むようなものが与えられているところに原因があります。 もちろん人間はゴリラのためを思ってそうしているのでしょうが、それが皮肉なことにかえって仇になっているようです。 しかし動物園のゴリラを憐れんでばかりもいられません。 私たちにもまったく同じことがいえます。 こういった観点から、私たちが本来のホモ・サピエンスとしてのたくましい生命力を取り戻すための作戦として、歯ごたえのある食物をしっかり摂ることが挙げられます。 歯ごたえのある食物には繊維質に富んだものが多いです。 作家の五木寛之さんはある本の中で「自分はあまり胃袋をあまやかさないように、わざと食べものを噛まずに飲み込んでしまうこともある」と語っていましたが、これなどは案外そのとおりかもしれないと思いました。 まさに流動食とは対極にある考え方です。 一種の「原始回帰その1」といえるでしょう。 健康のための原始回帰について次回も考えてみたいと思います。 次回の更新は2/22(木)です。 |
