執筆者の紹介

王堂 哲
ロンザジャパン社勤務。

L-カルニチンに限らず、すぐれたサプリメントがきめ細かく研究され、正しく用いられながら日本人のQOL向上に役立つことをテーマとして活動している。


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カテゴリ : 健康 : 
2018/03/08 (9:00 am)

原始回帰(その4)

あまりにも科学技術が進みすぎ便利になりすぎたこととひきかえに、私たちは咀嚼力を弱め、腸内細菌の秩序を狂わせ、歩行能力を失い、免疫系のバランスを崩した、こんなことを考えてきました。

最後は脳です。

私が高校生の頃、電卓はまだ高価でめずらしい装置でした。

ある日、尊敬する物理の先生が電卓で計算しながら「今は授業中で時間の節約のためにそうしているが、電卓なんか使ったらバカになるから、君たちはぜったいやめておいたほうがよいぞ」と言われました。

もちろんそのときは使おうにも手元になかったのでどうにもなりませんでしたが、そのうちそれがあたりまえのものになってくるともう手放せなくなりました。

平方根が出たりするのにビックリして長らく遊んでいたものです。

物理の先生は尊敬していたものの、電卓でバカになる説についてはすぐにそうではないと思うようになりました。

それからすでに40年以上、現在のスマホが高校生だった私の前に出現したらいったいどんなことになったでしょう。

Wikipediaのような無料の百科辞書ができたとき、やはり「あんなものはダメだ説」がずいぶんささやかれましたが、今ではそれは「当然賢く使うもの」になっています。

どうも、新しく世の中に出てきた利器の評判はマイナスのところから入って行き、やがて市民権を得て行くようです。

「心配しなくてもダメなものは淘汰される」という大らかな原則こそがおそらく最も信頼できるのでしょう。

しかしそうではあってもスマホの出現以来、本を読む時間が侵食されているということは私に関してはかなり事実です。

またそれに関連して「見ても見なくてもよいニュースやゴシップネタにつきあう時間が増えた」ということもまぎれもない事実です。

先の物理の先生ではありませんが、そんなことばかりやっていたらバカになるぞ、という警告はかなりリアルなのです。

これの特徴は「危険なダメさ」が確かにありながらも、それゆえに淘汰されることがないというところだと思うのですが如何でしょうか。

こんなに二六時中、目から細かい光の刺激を受け続けて視力や、その奥にある脳がさらされる危険については直感的に明らかだと思います。

固いものを噛んで食べる、行き過ぎた清潔主義は改める、歩く習慣を心掛ける、こういった原始回帰はその気になれば案外実行できる部類のものだと思います。

けれども空き時間にスマホを見に行かない、ということはそう簡単なことではない。

タッチパネル式のタブレットやスマホが普及しすぎたので、新しいメカには強いはずの大学生や新入社員の人たちがキーボードや基本的な表計算ソフトが使えないといったことが妙な形で昨今話題になったりしています。

これだって一種の「バカになっている現象」ではないでしょうか。

何につけ原始回帰を少しやってみた方が良い、と主張し続けてきたところですがスマホについてはもうあきらめた方がよいのかもしれません。

以前、寺山修司という人に「書を捨てよ町に出よう」という作品がありました。

この魅力的なキャッチフレーズは大好きですが、それでも書は捨てない方が良いよ、と個人的にはそう思っていました。

それとはまた違う意味で今は「スマホを捨てよ町に出よう」と声高に叫びたい、これはかなり本心でそう思います。

誰に対して?

ほかならぬ私自身に対して、です。

原始回帰の最後の強敵は電卓のようには引き下がってはくれないでしょう。

その先におこることがどういう事態であるか、それを想像できないところが一番この問題の難しいところではないかと思います。


次回の更新は3/15(木)です。

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