執筆者の紹介

王堂 哲
ロンザジャパン社勤務。

L-カルニチンに限らず、すぐれたサプリメントがきめ細かく研究され、正しく用いられながら日本人のQOL向上に役立つことをテーマとして活動している。


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2018/09/13 (9:00 am)

筋肉が溶けて脳を助ける話

植物は「植わっている物」と書き、動物は「動く物」と書きます。

ほんとうに文字通りですが、この特徴をもう一歩進めて考えてみると、その差は「筋肉があるかどうか」ということになります。

動物は筋肉の収縮によって動きます。

ところでこの筋肉ですが、案外一日のうち多くの時間は「じっとしている」ものです。

運動不足ということがまま起こることからもそれはわかります。

寝たきりの方、車椅子で生活されている方になると、ほんとうに筋肉は「静かな臓器」です。

ふつうの人にしてみても眠っている時や、起きていても椅子に座って会議をしているときなどの筋肉はやはり「静かな臓器」です。

肝臓も沈黙の臓器、などと云われますが、こちらは動きこそしないものの無数の化学反応を24時間こなす、という意味で片時も休むことなく仕事をしています。

一方筋肉は駆け込み乗車をしたり、重い旅行鞄を持ちあげて車のトランクに載せたりするときにはエネルギーを使って爆発的に働きます。

仮に普通の人が鉄棒で懸垂を試み、アゴが棒の上に来る状態でストップしたとしたら、これはものの10秒、20秒しかもちません。

あっという間にエネルギーが枯渇して「しんどく」なるからです。

筋肉がふだんおとなしくしているのはこういった咄嗟の怪力を発揮するための備えだとも言えます。

のべつまくなしに筋肉が活動していたら、あっという間に命の源泉は尽きてしまうに違いありません。

ところでこの筋肉はそういった「動く生き物」として存在する以外に「兵站線」つまり燃料としての機能ももっています。

タコは自分の足を食べて生き延びるという話をよく聞きますが、ヒトの身体の中でもこれと似たことは日常茶飯に起きています。

ちょっと忙しくて食事が長時間取れなかったとき、あるいはインフルエンザにやられて病床からなかなか出られなかったとき、こういうモーメントには筋肉が融解してエネルギー源として使用されています。

とくに寝たきりになると「筋肉にもう用はないのだな」という判断が早々に下され、溶かして燃料化されていきます。

筋肉は主としてタンパク質でできており、タンパク質はアミノ酸でできています。

筋肉を溶かすということはアミノ酸を生み出すことです。

生じてきたアミノ酸は酵素などまた別のタンパク質の原料になる場合もありますが、少なからぬ部分は肝臓でブドウ糖に作り替えられ、グリコーゲンの形で貯蔵されます。

こんなことが優先的におこるのはブドウ糖が脳や赤血球といった生命の根源物質の維持に欠かせないからです。

まるで殿様のために年貢を納める農民のようなイメージですが、実際脳や赤血球を最優先にすることが私達ヒトの身体の設計の基本原理になっています。

ちなみに、脂肪はエネルギー源とはなるものの、グリコーゲンに変わることができません。

だからこそ、グリコーゲンが尽きてくると頼るべきものはアミノ酸、またその原料である筋肉、ということになってくるわけです。

こんな事情ですので、ふだん元気なうちに筋肉をしっかり備蓄しておくことはいざという時のエネルギーの生命線を確保する上でもとても大事です。

「動く物」の、意外な生き延び方です。


次回の更新は9/20(木)です。

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