執筆者の紹介

王堂 哲
ロンザジャパン社勤務。

L-カルニチンに限らず、すぐれたサプリメントがきめ細かく研究され、正しく用いられながら日本人のQOL向上に役立つことをテーマとして活動している。


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カテゴリ : つれづれ : 
2018/10/04 (9:00 am)

発想が「やさしい」ガン治療

今年のノーベル医学生理学賞を京都大学の本庶佑先生が受賞されました。

免疫チェックポイント阻害剤という方法論をもとに新しいがん治療に道を開いた功績が讃えられた、何ともうれしいニュースでした。

ガン細胞は多くのヒトの体内で一日にとてもたくさん発生している、けれどもこれを免疫システムが片っ端から抑えている、そういうことがわかるようになってきたのは比較的最近のことです。

本庶先生の研究は、このシステムをもっと積極的に活性化することによって、すでに進行しているガンを鎮めようという、専門家でない私たちにもわかりやすい発想に基づいています。

従来のガン治療は手術、放射線、化学療法という3つで成り立っていました。

もちろんこれらの手法によって完治する例も多いのでしょうが、逆にそのために苦痛が増してしまい寿命が縮むことも少なくない、これが昨今かなり普及してきた認識です。

ガン3大療法は西洋医学の見識、西洋医学の科学感、西洋医学の方法論が行き着いた結論に基づいている、そのことはまず間違いありません

本庶先生の研究も広い意味では西洋医学の一環だといえなくもありませんが、従来と全く異なるところに気がつきます。

従来の方法は「ガン細胞」を単に敵とみなし、これを排除したり撲滅したりすることが基本になっています。

これはあらゆるバクテリアを「排除すべき敵」とみなして抗生物質で対抗する感染症対策などにも言えることです。

ですからガンは「悪性新生物」と呼ばれることもあります。

ガンは異物、異生物、という考え方がそこにはあります。

本庶先生らの発想はこれとは違い、身体が本来もっている免疫システムを働かせることによって、いわば自分の身体の判断力によって秩序を取り戻そうというものです。

これは力づくの「撲滅」とはずいぶん異なる、かなり「東洋的な発想」のように思います。

ガン細胞とはいえ、もとはといえば自分自身の身体の一部が変化したものなのですからこれを排除しようとするとどうしても「無事な細胞や組織」まで巻き込んでしまうような、非常に荒っぽいものたらざるを得ません。

しかし自らの身体がもつ「生きる力」を引き出そうというわけですから、本庶先生の免疫療法は根本的に「やさしさ」が違うように思います。

ただ、テレビの会見をみていると本庶先生ご自身も、それからコメンテーターとして発現されていた山中先生も「この方法が効く人と効かない人がある。この点を極めることが今後の大きな課題だ」と言っておられました。

これもたいへん重要な見解だと思います。

ともすれば「西洋科学に基づく医学」は大きな集団に対する治療成績を統計処理にかけて「これは効いた」「これは効かなかった」ということを数値で判断してしまいます。

しかし実際にひとりひとりの身体でおこっていることをよく観察してみれば「なぜ効かないのか」が見えてくるのでしょうし、それを丁寧に克服して行くことによって治療法はより完成度を高めて行くことになるのだと思います。

あの薬が効かなくなってきた、こんどはこれに変えよう、といったとっかえひっかえ的なやり方は実際あちこちでよく行われている抗ガン治療ですが、これらは残念ながら統計的発想の域を出ていないと思わざるを得ません。

ともあれ、今回のような誰にとっても身近な問題に対する受賞が契機となって医療そのものの見方が「やさしい何か」に近づいてゆくとすれば、それこそがほんとうに素晴らしいことだと思います。


次回の更新は10/11(木)です。

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