執筆者の紹介

王堂 哲
ロンザジャパン社勤務。

L-カルニチンに限らず、すぐれたサプリメントがきめ細かく研究され、正しく用いられながら日本人のQOL向上に役立つことをテーマとして活動している。


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カテゴリ : つれづれ : 
2018/12/27 (9:00 am)

レジリエンス(resilience)

レジリエンス、というのはあまり聞きなれない言葉かもしれません。

弾力、復元力、回復力などの訳語があるようです。

辞書によってはコンピュータ用語と書かれていて「障害許容力、フォールトトレランス(システムが構成要素の誤作動にもかかわらず正しく動作し続ける能力)」とあります。

私自身この言葉を知ったのは比較的最近のことで、米国航空宇宙局(NASA)が出しているややめずらしい研究報告に接する機会があったときのことです。

そこには“resilience”が何度も何度も出てきましたので、いったいどういう意味合いだろう、と興味をもったのです。

宇宙船というのは非常に限られた閉鎖空間で乗組員はほんの数人だけ、場合によっては自分ひとりぼっちで起こってくるすべての問題を解決しなければなりません。

それは宇宙船本体の問題かもしれませんし、観測機器の故障かもしれない、通信機器のトラブルかもしれません。

あるいは乗員の心身の不調もあるでしょう。

ここではすべてのメンバーがエンジニアであり、医者であり、心理カウンセラーであり、生物学者であり、物理学者であり、化学者であり・・・ということを要求されます。

宇宙船内の空間というものは非日常もいいところで、一日の時間リズムも違えば、重力も空気も音もない、また活性酸素や放射能に満ちたとんでもなく過酷な状況におかれています。

そんな中では何につけ「万全の体制」を前提とすることはできませんから「なんとかかんとかやってゆく力」ほど重要なものはないわけです。

最近また不意打ちのようにインドネシアで火山噴火や津波が起こったようですが、今年は日本列島も災害の連続でした。

このようなときに発揮されるべきものはやはり「さまざまなレベルでのレジリエンス」であるにちがいありません。

けれども被災地ではなく、宇宙船でなくても私たち自身のひとりひとりもまた色々な課題や問題を抱えながら生きています。

特に少子高齢化、人生100年時代がリアリティをもって語られるようになった昨今では、子どもができないこと、できた子どもを預けるシステムがないこと、中年期をすぎた人にあっては自分自身の健康や老化、そして親の世代の介護、これらすべてを一定の経済水準の中でやりくりして行かねばならないのですから「四方八方無傷、何の心配事もない」というようなケースはほぼ皆無に等しいといってよいのではないかと思います。

国家財政や国際政治の状況もまたしかりです(今年、個人的には相撲の世界がほんとうに波乱万丈だったことが印象的です)。

そういえば、清水寺で揮毫された「今年の漢字」は「災」だったそうですが、まさに然り。

「災い転じて福となす」ことはレジリエンスのもうひとつのあり方だと思います。

平成元号ももうすぐ終幕を迎えます。

ふり返れば私の娘は平成元年生まれですから人生最初の30年、私自身は30から60のど真ん中、親の世代は人生最後の30年、これが平成そのものだったと思います。

失われた30年だか何だか知りませんが、それぞれの人生にはかけがえのない時間でした。

来る時が世の中にとって「復元以上」のレジリエンスの年となることを祈っていたいと思います。

今年も一年間おつきあい下さいましてありがとうございました。

どうぞよいお年をお迎えください。


次回の更新は1/10(木)です。

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