2019/07/25 カテゴリ: L-カルニチンについて : 

L−カルニチンが足りなくなると、どうなるの?

ビタミンは自分の体で作れないので食事から補給する必要があります。

ビタミンが足りなくなるといわゆる「欠乏症」がおこります。

L-カルニチンが足りなくなるとどうなるのか?

実はL-カルニチンは体内で作られていますので、足りなくなるという状況は見えにくいのです。

けれどももし体内で作られないとなるとこれは非常に危険で、ミトコンドリアという細胞の中のエンジンが破たんしてしまい、悪くすると死に至ります。

少数ですが遺伝的にL-カルニチンを作れない赤ちゃんが生まれることがあり、原因がよくわからない中で突然死がおこったりします。

こういう場合には急いでかなり多めのL-カルニチンを与えてあげますと命ながらえることができます。

赤ちゃんはL-カルニチンを作る能力がただでさえ弱いのですが、自分で食事ができる幼児期以降は食品からL-カルニチンを摂取することもはじまり、だんだん体内の量も増えてゆきます。

また、人工透析をしていらっしゃる患者さんなどは体内から透析のたびにL-カルニチンが流出してしまいます。

一回の透析で血液中の75%ほどのL-カルニチンがなくなると言われています(ただ、ほとんどのL-カルニチンは筋肉中に含まれていて血中に出ている分は全体の中のわずかなので、急に具合が悪くなることはありません)。

ですが、長年人工透析を行ううちに徐々に筋肉からも減少してゆくことは確かです。

こういう場合には筋肉の痙攣やこむらがえりのような症状が出ることがありますので、L-カルニチンの補給が重要になります。

このようなL-カルニチンの利用は医薬品としての役割なのですが、こういった「L-カルニチンの欠乏症」から学べることも少なくありません。

つまり、重篤な症状としてあらわれなくてもミトコンドリアは常に潤沢なL-カルニチンを求めていることが推定されます。

実際、試験管の中の実験ではL-カルニチンがない状態のミトコンドリアでは燃料の脂肪に毒されて一気に構造が破壊されてしまうことがわかっています。

空腹で非常に激しい運動をした場合の心臓ではこういったことが起こる可能性があり、頑強なはずのトップアスリートが心不全でとつぜん命を落としたりすることもあるのです。

人工透析中の筋肉のケアも大切ですが、本当にケアが必要なのは何十年にもわたって透析が続けられた結果、心不全などの症状で亡くなってしまう場合が少なくありません。

この現象も先のトップアスリートのケースと似た事情があると考えられます(心臓はもともと脂肪を主要なエネルギーにして動く臓器です)。

というわけで「欠乏していない状態」ではL-カルニチンの有り難味をあまり実感することはありませんが、それは実に幸いなこと。草花に水をあげるように筋肉には十分なL-カルニチンを満たしてあげてください。

蒸し暑い夏もいよいよ本格化してきました。くれぐれもお大事にお過ごしください。


次回の更新は8/1(木)です。