2019/10/31 カテゴリ: 健康 : 

サルコペニア、フレイルって?

フレイル(frail)という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。

これは医学の用語で広く身体の脆弱性、虚弱性を意味します。

言葉自体は昔からあったはずですが、医学的にこれが定義されたのは2001年とまだ若い概念です。

サルコペニア(sarcopenia)というものもあります。こちらは「筋肉の減弱」です。

カルニチン(carnitine)のcarni-はラテン語で肉の意味ですが、サルコ(sarco)も肉をあらわします。これはsarksという古代ギリシャ語が語源です。

フレイルとサルコペニアは似ていますが、サルコペニアが筋肉に特化した言葉であるのに対しフレイルというのは骨のもろさや皮膚の老化、呼吸器や咀嚼力、免疫力などの身体状況のほかひきこもりのような神経・精神的なこと、や社会的に弱い立場に追い込まれることまでもを含むより広い概念です。

つまりフレイルの要因のひとつにサルコペニア(ちなみにpenia:は古代ギリシア語で〜がないことを意味する)が挙げられるわけです。

大病を患ったりしても筋肉や臓器は衰えるものですが、万人に共通する衰えはやはり老化(加齢)から来ます。

いわゆる「寝たきり」はサルコペニアを伴う典型的なフレイル状態ですが、これを避けるためにどうすればよいか、ということはまだまだ研究途上にあります。

骨格筋は早くも30-40歳ころから一年間に1%づつ減少しはじめ、40%が失われた段階で死に至るともいわれています。

それなら誰しも70-80歳で死んでしまうはずですが、実際にはそうなっていません。

そこが問題で、そこから先20-30年に及ぶ余命がフレイルの状態として続いてしまう、ここをなんとかしなければなりません。

つまり筋肉の状態から見て「死」に近いのに実際には生命を保っているという状態、まさに寝たきりです。

これはがほんとうに身近な問題であることはすでに多くの方が体験していらっしゃることと思います。

アジア地域にある国々の専門家が集ってサルコペニア・フレイルについて討議しあう学会が先週台湾で開かれ私も参加してきました。

幅広いフレイルについての研究発表が行われましたが、私としてはふたつのシンプルなことを報告したいと思います。

ひとつは、調べれば調べるほどこの問題の根がいかに複雑なものであるかということがわかってきた、つまり「わからないことが非常に多い」そのことがあらためてわかってきたということです。

もうひとつは、(それでありながら)対応策は単純で、およそ運動(筋トレ系)とタンパク質を中心とした栄養摂取にとどめを刺すということです。

とくに、対策は早くから始めたほうがよく「プレ」の段階としてプレフレイル、プレサルコペニアという言葉もありますので40-60代から早め早めの運動と栄養習慣を身に着けることが何よりです。

専門的にフレイルを扱う医学の方は「すでにフレイルになってしまっている人」「ほとんどその手前にある人」をどうするか、その対応にたいへんな状況となっておりますから、逆に手の打ちやすい「プレ」の方は自発的にできる人からやっていくのがよいと思います。

できれば学問にも医療にもお世話にならないで済めばベストなのだと、結局そういうことを学会の最後のところで悟った次第です。


次回の更新は11/7(木)です。