2019/12/19 カテゴリ: 健康 : 

太ったり痩せたり、人生の「風船パターン」を読む

「メタボ(メタボリックシンドローム)」は今から十数年前には一時流行語にもなるほど有名になりました。

現在この言葉はべつに流行していませんが、かなり定着はしていると思います。

また、この診断基準(たとえば腹囲85センチなど)は少し厳しすぎるとか、実際に長寿なのは「ちょいメタボな人である」とか、そういう専門的な見解もたくさんあります。

そのことの成否はさておき、この十数年の間に大きく変化したように感じられるのは日本人の長高齢化が非常に実感のある社会現象になっているということではないでしょうか。

これは団塊の世代の人たちが大量に引退を迎えたということとも関係があるかもしれません。

けれども11月頃から届き始める喪中はがきには百歳を超えて亡くなられた方の知らせも増えてきていますから、ことは団塊の世代の人口動態に限らず、やはり本格的な超長寿社会が現実のものになってきているということでしょう。

そして昨今ではメタボに伍して「サルコペニア」が徐々に有名なコトバになってきています。

この段階では肥満よりもむしろ痩せが問題としてクローズアップされるようになります。

サルコペニアは筋肉の減弱ですが「痩せ」が目立つのはやはり脂肪が減ってきたときだと思います。

メタボはだいたい30代の半ばから始まりますが、ズボンやベルトが苦しくなってくるのは40〜50代がピークかもしれません。

そして70-80代には痩せが問題になる。

結局人生の体型の変遷を遠目にみると、成長期、青年期を過ぎてまず中年期に脂肪組織が膨張し、それが60代頃からしぼみ始め、70-80代以降にはすっかりやせ細ってしまうという感じでしょう。

まるで風船のように脂肪が変化しているという様子が見えてきます。

お腹がせり出してくるのはエネルギーが過剰になって内臓に脂肪が蓄えられることで説明できますが、しぼんでくる方はどうなっているのでしょう。

これは長年蓄えてきたエネルギーを徐々に手放しているからにちがいありません。

この「充電」から「放電」への切り替わりがいつ、何をきっかけにおこるのかは個人によって差があるはずですが、いわゆる後期高齢期にはほぼまちがいなく「放電期」にはいってくると考えられます。

ここで忘れてならないのは筋肉の存在です。

脂肪が風船のように膨らんだりしぼんだりしている間に、筋肉は放っておくと減弱の一途をたどります。

この変化は目に見えにくいので、見逃されやすいところですが生活の質(QOL)を考える上では非常に重要です。

そこで筋肉を減らさないように栄養と運動に気を付けるという発想が出てきます。

とくに心配なのは若い女性のなかに「脂肪も少ない」「筋肉も少ない」という人が少なからず見られることです。

蓄えた脂肪が加齢とともに減少してゆく過程ではやはりその「脂肪」は生きるためのエネルギーとして利用されるわけです。

ですから若い時から中年期に筋肉、脂肪がともに少ないということは、高齢期にはいったときに大きな負債を負うことになりはしまいか、こういう懸念が出てくるわけです。

韓国などでは20代の女性よりも60代の女性の方が筋肉が豊富だという研究結果もあるくらいです。

もちろん、中年期の過体重には明らかなデメリットがたくさんあるわけですが、そのデメリットが持ち越されたまま脂肪のエネルギーも筋肉も減ってしまうということが最も大きな問題になります。

というわけで、理想的には中年期から過体重に気を付けながら筋肉を意識する、そして「ちょいメタボ」くらいの溜めをもって高齢期を迎えるというパターンをめざすのがよいことになりそうです。

人生百年時代、ヒトの一生に関するエネルギー代謝のパターンはだいたい読めてきています。

次年度の国家予算が組まれていますが、医療財政はもはや青息吐息です。

まずは「パターンに気づいた人から」健康の方向に舵を切ってゆき、それを周囲にも広めてゆくことが今後の社会では望まれます。

次回の更新は12/26(木)です。