2020/08/06 カテゴリ: つれづれ : 

「人は自分たちに理解できないことは軽蔑する」シャーロック・ホームズ

名探偵シャーロック・ホームズは「人は事実に合う論理的な説明を求めず、理論的な説明に合うように、事実の方を知らず知らず曲げがちになる」と言っています。

今度の新型コロナでは、何度もこの言葉が浮かんできます。

ウイルスという、眼に見えない相手から健康や命を守りたい人と、社会経済を守りたい人、自分(たち)の仕事や生活を守りたい人、医療制度の崩壊を防ぎたい人、イレギュラーになってしまった教育システムに対応しなければならない人・・・やむを得ず、さまざまな立場が議論を複雑にしてしまいます。

考えてみれば「コロナ以前」の社会ではこれらすべての秩序が正常に機能していたのですから、何不自由なく暮らしていたということになりそうですが、べつにそういう実感もなかったと思います。

ところで、コロナウイルスの動静を予想することが非常に重要なことはいうまでもありません。

日本は世界でもまれにみるコロナ対策の成功例と見られていますが、今年の4月28日にEMBO Molecular Medicineという医学雑誌でIwasakiによって示された見解によれば、その原因として以下の5つが挙げられています。

1. 清潔好きな文化的背景
2. これまでに少々予備的な感染を受けていたので抵抗力が強い
3. ACE2受容体の発現が少ない
4. 新型コロナに抵抗性のあるHLA抗原をもっている
5. BCGを摂取している

これらはいずれも仮説です。
もしかしたら、さらに第6、第7の理由があるのかもわかりません。

山中伸弥先生は日本人の罹患率が低い原因を「ファクターX」と名付けました。

さまざまな有識者が連日あちこちで発言していますが、当然ながら皆真剣で大真面目です。

これに対し、多くの政治家、コメンテーター、マスメディア、YouTuberなどが入り乱れて批判の応酬を展開します。

ホームズはまた「人は自分たちの理解できないことを軽蔑する」とも言っています。

これもその通りだなあ、と思ってしまいます。

さて、日本の罹患率が低い理由ですが、その原因は一つではなく「各々の要因がどれも部分的に正しい」と考えてみます。

つまり「ファクターX」は複数あり、まじりあって効果をあげている、ということです。

もしそうだとすれば(これもまた一つの仮説ですが!)、「唯一原因論」で押し通すかぎりいつまでたっても正解にたどり着ける見込みはありません。

しかしながら、考えること、観察すること、そして「こうではないか?」ということを言ってみることもまた意味のあることです。

「私は事実(データ)に基づいた話しかしない」というのもまたひとつの態度ではありますが、データも生き物のように変化するのですから、あまりストイックになりすぎると沈黙しているしかなくなります。

7月を超え、8月を過ごしてまた一皮剥けて賢明になっていたいものだと思います。

来週は一回お休みとさせて頂きますので、8/20(木)に更新いたします。