2020/09/17 カテゴリ: 健康 : 

免疫系と脳の似ているところ:「記憶」と「経験」

青年のころの臓器はみずみずしく、また概ね大きさという点でも充実しています。

逆に言えば、加齢とともに臓器は萎縮してきます。

これは骨でも筋肉でも脳でも共通してみられます。

胸腺や骨髄ではとくに加齢変化は著しく「脂肪化」して萎み切り、なくなってしまうといってもよいくらいです。

大昔、胸腺は高齢者にはなく、若くして死亡した人にだけ見られたということで「この臓器があると若死にする」と誤解されていたといいます。

この胸腺(あるいは骨髄)という臓器ですが、これらは免疫細胞を供給する働きをしています。

このことは加齢とともに免疫力が衰弱してくることを想像させます。

ヒトは生まれてからあとにさまざまな抗原に暴露され、それを一部の抗体産生細胞が記憶します。

したがって、胎児の頃には真っ白だったノートに出生後からさまざまな感染歴が記録されているというわけです。

その記録のためには多大なエネルギーを費やしますが、若い時にはそれができます。

年老いてくると免疫臓器が委縮して来ますので機能も低下することは避けられません。

ただし、若い間にエネルギーを使ってせっせと記録した「感染ノート」が充実していますので、そういう意味では想像されるほど脆弱ではないともいえます。

これは脳とも似ています。

生まれたときにはほぼまっさらなノートですが、人生を歩みながらさまざまな経験が書き込まれてゆきます。

脳も委縮してはくるのですが、一方で経験を生かした若者にはない知恵を生み出すことができます。

免疫系と脳のこのような類似性をつなぐキーワードは「記憶」といえそうです。

ヒトでも昨日のことは忘れてしまっても昔のことはよく思い出せる、といったことはよく経験するところです。

免疫にも似たようなところがあります。

もしかしたらBCGワクチンの接種などは結核菌に対抗することを使命としながら広い範囲の感染記憶に一役買っているのではないか?そんな可能性も指摘されています。


次回は9/24(木)に更新の予定です。