2021/09/09 カテゴリ: スポーツ : 

盲目の柔道家『暗闇(くらやみ)五段』のこと

私が小学校に入学したころ盲目の柔道家を主人公にした『暗闇(くらやみ)五段』というテレビドラマがありました。

主演は(まだメジャーになる前の)千葉真一さんでした。

残念ながら千葉さんはつい先日コロナ罹患で他界されましたが、若かりし頃の雄姿がとても魅力的で子ども心に憧れました。

ドラマの設定は火事場から子供を救出しようとした際に事故で失明したということで、この被災シーンが毎回主題歌の前に現れました。

この白黒テレビの作品を覚えている方は少ないと思いますが、半世紀以上前のことですから視覚障がい者を「暗闇」と称して主人公としたドラマだということが適切でないといった捉え方がその後の背後にあったのかもしれません。

ともあれ、千葉さん演じる柔道家は試合のみならず社会悪とも果敢に戦う正義の人で「まるで目が見えているようだな」というセリフがよく出てきていました。

先日幕を閉じたパラリンピックでは視覚障がいの人たちの競技もたくさんありましたが、とりわけ驚いたのはブラインドサッカーでした。

もし私があの中に入ってゲームに参加したとしたら、条件的には圧倒的にこちらが有利なはずですが、とてもそうはならないことは明白と思われました。

素早いドリブルをしたり、キーパーの股下をすり抜けてゴールの隅のきわどい線にシュートを成功させたり、まさに信じがたいパフォーマンスの連続でした。

そもそも、健常者が目隠しをしてゲームをしたとしても何時間たっても1ゴールもできないでしょう。

しかもサッカーはチームプレーですから、ひとりが突出して優れていても意味がありません。

またどこかひとつの国のチームだけが図抜けて強かったとしても、相手あってのこと、試合は成立しません。

日本vs.フランスで日本が圧勝したとき、こんな強いチームに勝てるところがあるとは思えませんでした。

しかし、実際には「上には上」があるわけでした。

視覚を全く使わずにサッカーをするというような信じ難い能力を磨き、身につけた人たちがこんなにたくさんいるということにも改めて驚きました。

世界最高峰を競うパラリンピックですから、そこに出場できなかったチームはもっと多い理屈で、その選手層の厚さを考えるとさらにすごいことだと思います。

何らかの障がいを持った人は全人口の15%に及ぶということも今回改めて知りました。

実際に視覚障がいの柔道選手の試合なども観戦しながら思わず『暗闇五段』もまた再放映されたらいいな、と、なつかしい千葉さんの面影と重ねてしばし感慨に浸りました。

次回の更新は9/16(木)です。