2021/09/30 カテゴリ: L-カルニチンについて : 

L-カルニチンと冬眠の意外な関係

ビタミンDは日光を浴びることで体内で合成され、骨や筋肉、免疫や脳にまで幅広い働きをしていることで有名です。

新型コロナでも改めて存在感を高めているビタミンなのですが、このビタミンDは代謝されて最終的には「ビタミンDラクトン」という物質になることが40年以上前から知られていました。

ところがそれがどういう働きをしているのかということはずっと謎として残されていました。

つい1週間ほど前(9月22日)のこと、その謎が解けたという興味深い発表が京都大学と東京農工大学の研究グループから発表されました。

ひと言でいえば、このビタミンDラクトンという物質はL-カルニチンの生合成を抑制する働きをしている、ということらしいのです。

L-カルニチンは肝臓などで常時作られているのですが、それが抑制されるのだと。

するとどうなるかというと、L-カルニチンが少なくなるので燃料である脂肪を燃焼炉(ミトコンドリア)に運搬できなくなります。

そうすると結果として脂肪燃焼の速度がスローダウンしてしまうわけです。

こういうことはどうも冬眠動物の身体で起こっていることのようです。

冬眠している間は何日間も「寝ている」ので身体の代謝が低下した状態、いわば時計がゆっくり回るような状態になります。

そうすることによっておなかの中の食べ物がゆっくりこなれて春までの命がもつ、という理屈です。

脂肪は生きて行くための重要な燃料ですが、L-カルニチンがたくさん作られてどんどん脂肪が燃え尽きてしまうと冬眠動物は「寝ていられなく」なります。

目覚めたとしても雪深く餌にありつくことができなければ命にかかわります。

というわけで冬眠前に日光を浴びて体内にできた「ビタミンDラクトン」が体内のL-カルニチンを減らすことによって脂肪の消費をスローダウンさせ、体内時計を遅らせる、そんな仕掛けがあるらしいということです。

私たちヒトの場合は冬眠しませんので別に代謝を遅くする必要はありません。

この点、ふだんの食事(特に肉類)を食べることによってL-カルニチンを摂取出来ますし、もちろんサプリメントとしても十分量を補給することができます。

その意味では木の実などL-カルニチンを含まないものをおなか一杯食べてから冬眠に入る動物の脂肪燃焼は自分の身体で作るL-カルニチンの量で速度が調節されているのでしょう。

ここから逆に考えれば、十分なL-カルニチンを摂っていることによって体内の脂肪は寝ている間にちらちらと燃えてくれるという考えが成り立ちます。

クマやリスと私たちヒトの身体は基本的にとてもよく似ていると思えるのですが、冬眠をするかどうかということは考えてみればこれは相当な「生き方の違い」だといえます。

その生き方の違いは身体の中に持っているL-カルニチンの量で決まる、というような不思議なしくみがこのストーリーの中には含まれています。

L-カルニチンによる生物時計の調節、という話は私も初めて聞きましたが、とても合理的なしくみですね。

次回の更新は10/7(木)です。