2021/10/07 カテゴリ: つれづれ : 

ノーベル賞シーズンに・・・!

免疫という現象そのものは18世紀にジェンナーという人のすぐれた観察によって天然痘に対応しようとしたことから知られるようになりました。

すでに200年以上も前の話です。

その後免疫についてはどんどん解明が進められ、特に遺伝子工学、細胞工学などが利用されるようになって以降は実に様々なことがわかってきました。

免疫システムは自分でないものが侵入してきた時にそれを見つけて撃退します。

基本的にはどんな未知のものに対してもその構造にピタリとあてはまる抗体の準備ができているのですが、これはあたかもどんな体格の人が来てもピッタリサイズの服を在庫している衣料店、あるいはアマゾンなどで買い物をする感覚にも似ています。

何が来るのかわからないのに何故全てに対応できるのか?という根本的なしくみ(獲得免疫)に対する謎解きは数十年前、日本人免疫学者の利根川進によって行われました。

このあたりで、もはや免疫システムについての解明は終わったのではないかと思われるほどでした。

しかし意外にも、たとえば自然免疫という原始的な対応戦術が、より高等な抗体による獲得免疫と不可分一体の地続きになっていることは比較的最近明らかになった基本的な事実のひとつです。

また自分でないものの排除という課題は逆に、自分と同じものは排除しないという課題でもありますが、この仕組みに答えが与えられたのも比較的最近のことです。

また食べ物は誰にとっても本来異物ですがこれを排除していたのではそもそも生きていくことができません。

この誰もが知るありきたりのことも、従来の免疫系では説明できなかった「素朴な難問」でしたが現在では「免疫寛容」と名付けられる巧妙な仕組みがわかって来ています。

ただ、非自己である胎児が母体から排除されないのは何故か?リウマチなど自己を非自己と誤認して攻撃する場合があるのは何故か?花粉症など本来反応すべきでないものに悩まされる人が増えているのは何故か?こういう身近な疑問には現代免疫学もまだ完全には答えられていません。

どれも大変切実な問題であり日々に世界中の最先端の研究者が取り組んでいますので遠からず明解な答えが見つけられるのではないかと期待されます。

ところで、近年なされた免疫領域の研究では日本人科学者の貢献が際立って多いことも特筆すべき事実です。

文学賞や物理学賞、化学賞などと並んで免疫学は日本人にとってノーベル賞のシーズンになると毎年ワクワクドキドキが楽しみな分野のひとつになっています。

今年もまさにその時節になりました!

次回の更新は10/14(木)です。