2021/12/02 カテゴリ: L-カルニチンについて : 

あっという間の20年でした・・・

今年もはや師走になりました。

私がL-カルニチンと出会ってから今月でちょうど20年になります。

その間、毎年300〜900報くらいのペースで「キーワードcarnitine」を含む学術報告が積みあがってきました。

私自身2度のヒト臨床試験を実施する機会に恵まれました。

最初のケースでは、中性脂肪がやや高めの中年男性を被験者としてL-カルニチンの4週間摂取試験を行いました。

この試験の特徴は単にL-カルニチンを摂取してもらうだけではなく、予めL-カルニチンはどういう働きをするのかを各被験者の方々に説明し、体重や歩数の記録、目標体重の設定などを行ったことです。

つまり、これによってモチベーションを少しアップしてもらうことにしたわけです。

しかしながら、これでは得られた効果がL-カルニチンによるものかあるいは日常の健康習慣の改善によるものかが区別できません。

そこで、特にモチベーションを喚起することなく単にL-カルニチン摂取だけをしてもらうグループも作りました。

そしてさらに、L-カルニチンを飲んだ群、プラセボ(見掛けだけ似せて作ったカプセル)摂取群を設けました。

つまり「L-カルニチン+モチベーション」「L-カルニチンのみ」「モチベーションのみ」「何もしない」という4つのグループに分けて体重や血液検査の結果がどのように変化するかを比較してみたわけです。

その結果ベストだったのは「L-カルニチン+モチベーション」のグループで、中性脂肪の減少、体重の減少、アディポネクチン(善玉ホルモン)の増加などが確認されました。

一方モチベーション喚起をせずにL-カルニチン摂取だけ摂取してもらったグループは効果に大きなばらつき(個人差)がありました。

臨床試験が終わってからインタビューしたところ「モチベーション喚起なし」の中にはせっかく臨床試験に参加しているのだからということでそれを機に自転車通勤に切り替えたりした人がいたことがわかりました(これはこれで大変好ましいことではあるのです)。

これによって「L-カルニチンは自ら助くるものを助く」ということがわかりました。

そうではないかな、という予想はありましたが、実験によって確かめられたときにはとても嬉しかったです。

ふたつ目の試験では、L-カルニチンを一回飲んだだけで脂肪が燃焼するかどうか?という疑問について検証しました。

この試験では管理栄養士をめざしている愛知学泉大学・山内研究室の学生さんの方々にご協力頂きました。

朝ごはんを抜いてきてもらった被験者のみなさんに30分間無理のないペースで自転車漕ぎ運動をしてもらい、排出した呼気のガス組成を時々刻々に調べました(呼気分析測定法)。

呼気に含まれる酸素と炭酸ガスの比率を分析することによって「エネルギー源として炭水化物が使われているのか脂肪が使われているのか」が判定できるのです。

その結果自転車漕ぎ運動の直前にL-カルニチンを摂取した場合には、摂取しなかった場合に比べて運動後の脂肪の利用率が高まることがわかりました。

それまでL-カルニチンは通常1週間、10日、一か月と飲み続けなければ効果が現れないのではないかと思われていましたが、そんなことはなく飲むたびに脂肪が使われやすい状態になるという結論が得られました。

またジムトレをやっている真っ最中ではなく「終わってから」がL-カルニチンの本領発揮の時間帯なのだということも確認できました。

さらに、L-カルニチンの実験では大柄な外国人が2〜3グラムという比較的たくさんの量を摂取したものが大半なのですが、ふつうの体格の日本人であれば500-750 mg程度を飲めば効果が出てくるということもわかりました。

私自身この2つの臨床試験を通じて得た情報を手掛かり足掛かりとして自分自身のL-カルニチンの飲み方を工夫するようになり、血液検査や体重、体脂肪率などは適正レベルをずっと保てるようになり今に至っています。

得られた結果を論文として残しておくことで研究はひと段落しますが、ひとつの研究が複数の新たな疑問や課題を呼び起こしてくるという側面もあります。

その意味で研究はエンドレスなのですが、ひとまず最も基本となる事実が抑えられたことはこの20年間のささやかな成果かな、とは思っています。

それにしても毎年毎年数百から千に近い論文が出ているL-カルニチン研究の中で、なんとささやかな、こじんまりした1ページであることか、それを思うと気が遠くなりそうです。

20年目という節目に際して、これからも地道に検討を続けて行こうと心を新たにしているところです。

これからも応援頂けましたら幸いです。

次回の更新は12/9(木)です。