2021/12/09 カテゴリ: つれづれ : 

ピンピンコロリとはこういうものか・・・と。

平成の大歌舞伎役者、中村吉右衛門さんが先日亡くなられました。

歌舞伎の役者さんは、隈取(くまどり)という独特の舞台化粧をしますが、一流の舞台人なるもの、いわゆるスッピンであっても堂々たる形相が感じられるものです。

吉右衛門さんもそうでした。

鬼平犯科帳の長谷川平蔵役では一切の甘さを許さない、それでいて深い人情味をたたえた風情をもって池波正太郎文学の神髄を一部の隙もなく演じておられました。

品格風格充分で大人気の役柄、「鬼平」への出演は150回にも及んだそうです。

昨年はコロナ禍ということで舞台もなかなかままならなかったわけですが、吉右衛門さんはそんな中で得意の日本画を描くところを映像で残しています。

先日それをウェブで見ました。

たすき掛けをして、真剣なまなざしで桔梗(キキョウ)が描かれました。

出来上がったところで「お笑い種(ぐさ)でございます」と照れ笑いしながらすばらしい出来栄えを示されました。

そんな闊達この上ない立ち居振る舞いを見ていると、こんな人がそれから1年とは経たずに他界してしまうなどということはまったく想像もできないことで、ファンとしては大きなショックを覚えました。

長寿社会がどんどん進行して行く中で人に迷惑をかけずに人生を全うしたいという望みはかなり切実な思いとして日本人の間では共有されているようです。

寝たきりにならずきれいな散り際を得ることは「ピンピンコロリ」と表現されますが、清々しく絵筆を動かす吉右衛門さんの姿を見ていて私は何度もこの言葉を思い出しました。

今年もあと少し、健康に感謝しながらカウントダウンに近づいてゆきたいと思います。

次回の更新は12/16(木)です。