2006/03/10 カテゴリ: メタボリックシンドローム : 

内臓脂肪と食欲の意外な関係

一見関係のなさそうなものが実は意外なところでつながっていた、というようなことを知るのは何につけ知的興奮を覚えるものです。

そういう例は科学の歴史にもたくさんあります。動物の肉から見出され、そこで何をしているのかよくわからなかったL-カルニチンが、実は脂肪をミトコンドリアに運ぶ役割をしていた、などということが発見されたときにも、当時非常に驚いた人は多かったことと想像されます。ただ、それはその分野の研究をしていた人でないと感じないややマニアックな驚きだとは思いますが。

つい今週流れてきた科学ニュースは、健康オタクでなくとも肥満に関心のある人にはびっくりするものでした。「ただの脂のかたまりだと思われていた内臓脂肪が、食欲のコントロールを狂わせる」という東北大学医学部の片桐先生らによる発表です。

おなかの中に溜まっている脂肪が動脈硬化につながるメタボリックシンドロームの元凶である、という発見もこの脂肪細胞が「ただものではない」ということで一躍脚光を浴びるようになりました。さらに今回の発表ではそういう血管などの末端器官のみならず、司令塔である脳に対しても食欲という信号の伝達に影響を与えているということですから、その「ただものでなさ」もますます強まってきた感があります。

わかりやすくいえば、内臓脂肪が溜まってくると「もう満腹だからこれくらいにしておけ」という信号(これはレプチンというホルモンの仕事です)がうまく脳に伝わらず、ずっと食べ続けるようになる、そういうことが周到な動物実験によって証明されたということです。青春時代の食べ盛りでもないのに鯨飲馬食などという人は、要注意、ですね。
(つづく)