2022/06/09 カテゴリ: L-カルニチンについて : 

L-カルニチンは何億年前に発明されたのか?

L-カルニチンはエネルギー源となる脂肪を細胞の燃焼炉であるミトコンドリアに運ぶ働きをする唯一の分子です。

とはいえ「運ぶ」と簡単に言ってもトラックのような荷台があるわけでもなくL-カルニチンと脂肪酸の分子を過不足なく、タイムリーにきちんと結合させなければなりません。

その結合を担っているのがCPT-1という酵素ですがそれだけでは不十分で、膜を通過させるためには回転ドアのような役割りをするCACTという別の酵素の助けが要ります。

そしてさらに先の終着駅であるミトコンドリアの内側にはCPT-2というさらに別の酵素が待ち構えていて一度くっつけたL-カルニチンと脂肪酸を引き離して燃料タンクに送り込む工程へ引き継がれます。

これだけの仕掛けが全身の細胞のミトコンドリアの内外に過不足なく整っているということは驚くべきことに思われます。

こういうL-カルニチンという分子を神様が作られたのかどうかはわかりませんが、いつこの世にあらわれたのかは実に興味ある問題です。

人間をはじめとする多くの動物はもちろん、わずかではありますが植物にも存在します。

このことからこの発明は動物と植物が分かれる前の時代にすでに完成していたことになります。

もっといえば、バクテリアの中にはL-カルニチンを作るものが知られており、そうするとざっと30億年以上前にすでにこの世に誕生していたと考えられます。

ミトコンドリアそのものがもともとバクテリアのような独立した単細胞生物であり、ある時期から多細胞動物の中で一緒に暮らすようになったことがわかっています。

ですからそういう「同棲生活」を始めたときにミトコンドリアが「家財道具」のひとつとして仕掛けもろとも持ち込まれてきたのでしょう。

このように気の遠くなるような太古の昔から今に至るまでL-カルニチンは同じ仕事をずっと続けています。

しかも、L-カルニチンが体内からなくなるとミトコンドリアそのものが潰れてしまうこともわかっています。

ですので決して欠乏することのないよう、生きて行くのに必要な分は「自給率100%」を達成すべく肝臓や腎臓、脳などで日夜作り続けられているのです。

この「生きて行くのに必要な分」というところが実は意味深長で、非常に激しい運動をするアスリートや、赤ちゃんを胎内に宿しているお母さんの身体、あるいはお年寄りなどでは必要量が十分にまかなえないことがあります。

その為、少しL-カルニチンを補給することで調子がよくなります。

またメタボになってしまった人では(メタボ状態であること自体に苦痛は伴わず、L-カルニチンが不足しているかどうかは考え方次第ですが)L-カルニチンをさらに補給してあげることによって、持ち過ぎた脂肪をミトコンドリアにスムーズに運べるようになり肥満が解消される方向に代謝が進みます。

ますます人生が長くなって行く現代社会にあってはこの三十億年前の発明品を上手につかいこなしながら健康寿命をのばして行きたいものです。
次回の更新は6/16(木)です。