2022/06/23 カテゴリ: 高齢者・療養中の方 : 

高齢期には「食べる楽しみ」が戻ってきます

身体は受精卵として命が芽生えて以降、細胞を増やしたり大きくしたりしながら思春期あたりまで成長を続けます。

そのあと中年すぎまでは一定の平衡状態が長く続き、やがて高齢期になると身体はしだいに小さく縮んできます。

今日は生涯におけるこのような身体の変化と食事について(とくに量について)考えてみようと思います。

受精卵は精子と卵子というふたつの細胞が融合したものですので細胞数としては1個ですが、ここからはじまって30兆個に近い数にまで増えて「一生」がはじまります。

この、1個から30兆個にまで増えて行くのに十月十日(とつきとおか)しかかからないので、これは子宮という宇宙の中でおこる人生最大の爆発的な細胞増加期間です。

およそ3000グラムくらいの体重で生まれてから直後の育ちは哺乳類たるものお母さんからミルクをもらうことだけでほぼ達成されますがその成長速度は極めて速いものです。

そこから第二次性徴期(成長期)に身体はうんと大きくなり成人になって行きます。

身体の中ではタンパク質の合成と分解が絶え間なく行われていますが、この第二次成長期までは分解よりも合成が優っています。

従ってこの時期にはいくら食べてもお腹が空いてしまう時期で、何を食べてもおいしく、どんぶりメシでも何でもOKです。

成長が止まってからも「おいしい食事」はずっと続きますが、こうなるとタンパク質合成のかわりに脂肪合成が蓄積し、いわゆる中年太りになります。

ただ、一方でタンパク質の合成よりも分解が優るようになって来ていて実は筋肉や骨は縮みはじめています。

ですが中年期の脂肪の合成はやがて「メタボ」の観点でダイエットの必要が出て来ます。

つまり「美味しい食事を食べたいだけ食べる」という時代とは残念ながらしばらくお別れとなります(少なくとも健康リテラシーを備えた人の場合には)。

現在六十過ぎの私はそういうちょっと残念な「お別れ」をしてからもう十年以上になりますが、私の人生の中での飽食の時代に蓄えた脂肪は適当に減って体重はほぼ±1.5キロくらいのところで安定的に推移している、こんな状態です。

これから先、タンパク合成と分解の帳尻りは分解が優勢となりいよいよ身体が縮んでくる自然の摂理を避けられません。

ところが「食」について考えれば、もちろんそれなりの節制リテラシーは必要ではあるものの、基本的には食べたいと思うものをあまり遠慮しないで食べても良くなる時期だと言えます。

特に後期高齢期に入ると「減り」の方が速くなるわけですから単純に言えば「食べたもの勝ち」という状況になります。

実際介護などの必要性が見え始める年代に入るとどのくらいしっかり食べられるかによって個人差はたいへん大きくなってきます。

こうなると毎日食べるのが楽しみ、という思春期に似た時期に入れるわけですから人生の楽しみを食に求めて行くということはなかなか理にかなっています。

というわけで、高齢期以降は大いに食を楽しみましょう! これが本日の結論です。
次回の更新は6/30(木)です。