執筆者の紹介

王堂 哲
ロンザジャパン社勤務。

L-カルニチンに限らず、すぐれたサプリメントがきめ細かく研究され、正しく用いられながら日本人のQOL向上に役立つことをテーマとして活動している。


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カテゴリ : つれづれ : 
2017/06/29 (9:00 am)
「藤井四段」はいまや日本でもっとも注目度の高い存在。

もちろん30年以上保持されてきた連勝記録があれよあれよという間に破られたからですが、これが「新人棋士」の「デビュー戦」以来のできごとであることが話題をさらにセンセーショナルなものにしています。

一方奇しくもAIがチェスや囲碁、将棋などで力をつけてきていて人間の名人クラスが勝てないということも最近とみに注目されています。

AI将棋についていえばその開発者自身をして「どのようにしてAIが学習しているのかがはかり知れない」という状況です。

藤井四段が彗星のごとく出現した時期とAIの台頭が同じタイミングであったことは偶然のことですが、たいへん示唆的です。

AIと人間の対決に関してはもはやどちらが強いか、とくに将来的にはどうかということはもうあまり興味をもって問われなくなるでしょう(たとえば藤井四段との対決など私はべつに観たいと思いません)。

これはいいかえれば電子頭脳の方が強いということが人々の失望につながらなくなるということでもあります。

それよりも、AI将棋の示している「人間離れした発想」が逆にプロ棋士たちの手筋にどんな影響を与えてゆくかがより重要になって行くようです。

これからの注目点はAIを活用しながら「生身の天才棋士たち」が演じるドラマがどのように展開するかということになりますが、これはまさに棋界にとっての新しい時代の幕開けといえるでしょう。

ところで「中学生の藤井クン」が幼少時にどんなおもちゃで遊んでいたかとか、学級での様子がどんなふうだとか、そんなところにもこまごまとスポットがあてられています。

とくに彼が「何を食べているか?」という話題がケッサクです。

ラーメンが好きだとか名古屋なので味噌煮込みうどんが対局前の勝負めしだとか。

どんな知的な刺激や教育を受けたのかという点に興味注がれるのはもっともですが、頭が良くなる食べ物、あるいは頭の良い脳をつくる食べ物はなにかというのはなかなかおもしろい視点だと思います。

つい先日亡くなった渡辺昇一さんが名著『知的生活の方法』の中で「脳も身のうち」ということを述べていて、頭脳のはたらきと食べ物の関係を真摯に論じています。

もちろん藤井四段と同じものを食べたからといって何か劇的なことが直ちにおこるとは考えられませんが「ある人はその人が食べた物からできている」という真実は食物科学の最も基本にある重要なかんがえです(これとは別に「生まれてきた赤ちゃんのからだはすべてお母さんが食べた物からできている」ということはよりわかりやすい)。

若き天才棋士の出現はこと将棋にとどまらず、脳科学、食物科学、教育学など数々の分野にみずみずしい関心を広げ続けています。

こういうことはAIとちがって、人間味にあふれた想像力をかきたてられる示唆に富んでいてずいぶんほっとするような気がいたします。

ともあれ、どこまで連勝記録がつづくのかまだ当面眼が離せませんね。


次回の更新は7/6(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/06/22 (9:00 am)
近頃は対向車線から自動車が飛んできたとか登校中の児童の隊列に車が突っ込んだとかそんなニュースを耳目にすることが多いですね。

いったん事故が起こってしまうと当事者はもとより交通妨害がおこり、警察官の人たちもたいへんな事後処理が必要になってしまいます。

昨日の朝、街中で車を運転していたらたくさんの警察の人が出てあちこちで通勤通学の人たちの誘導をしていました。

交通安全週間なのかどうか、運転をしている方にしてみれば白バイやパトカーなどが視界に入ると少なからずハッとします。

それまで飛ばしていたクルマの流れもぐっとゆっくりになったりもします。

何も違反をしているつもりはなくとも一瞬の緊張が走る、これは正直なところちょっと「イヤな感じ」なのです。

けれども、ほんとうにいやな感じがするのはやはり事故現場と出くわしたときです。

大勢のパトロール隊による朝の交通整理を見ていてふと、これはまさに身体でいえば予防にあたるな、と思いました。

事故の後処理は一時的な生活活動の停滞を伴い、車や乗っていた人、巻き込まれた通行人、ガードレールや電柱などのインフラの修理などにとても大きな負荷がかかってしまいますが、この点まさに傷病の治療と同じです。

お酒をのみすぎるな、寝る前にものを食べるな、体重を管理せよ、きちんと睡眠をとれ・・・こういうことはちょっと羽目を外して楽しんでいたい身にしてみれば余計なお世話、「イヤな感じ」がよぎりますが、街中でパトカーが見えた時とよく似ています。

だからというわけではありませんが今日はほんとうに久しぶりに歯医者さんにケアを行ってしてもらいました。

虫歯などは特になく、歯そのものはしっかりしていますねと褒められて少し気をよくしたのですが、同時に痛い思いをして削ったり抜いたりせずに済んだことにほっとしました。

忙しさの最中に紛れてしまうのも交通安全や健康管理の共通点かと思います。

人生の終盤、忙しさから解放されたとたんに放置していた健康の治療にとりかかる、というのはどうもマズいと思います。

まず手始めに近所の歯医者さんに予約を入れてみられてはいかがでしょうか?


次回の更新は6/29(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/06/15 (9:00 am)
先日片岡鶴太郎さんが全日本ヨガ連盟からヨガ親善大使に任命されたというニュースをみました。

なんでも、インド政府公認プロフェッショナルヨガ検定に合格しレベル1からレベル4まであるうちのレベル1のライセンスを取得したのだそうです。

鶴太郎さんといえば、物まね芸人から出発して、ボクサー、俳優業そしてプロの画家としても大活躍していることで有名です。

鋭敏な好奇心を駆使して面白いと思ったことにはグッとくらいついてものにしてしまう、その発想や執念、努力には感服します。

そんな鶴太郎さんのことですから、ヨガへの取り組みも生半可でなく外出の7時間前に起きて4時間のトレーニングに励み、その後2時間かけて食事そして身支度。

しかも一日一食なのだそうです。

朝6時に出かける場合には午後11時に「起きる」というわけで、なんだか混乱してきそうです。

そんな生活で体重は65 kgから43 kgになり、カゼひとつひかず体調はすこぶる良好、125歳まで生きるのだとか。

鶴太郎流にいえばこれでまたあたらしいジャンルをひとつものにした、ということですね。

ものすごく充実してその成果を楽しんでおられる様子が伝わってきます。

ただ、座禅の足組みをしながらお腹をボコッと引っ込めてポーズをとっている写真をみていると、あばら骨がくっきり浮き出ていて目はくぼんでぎらぎらしており何だか鬼気迫るものがあり、ちょっと引いてしまいそうです。

この鶴太郎さんの姿とそっくりな、骨と皮だけになった荒行後の仏陀の像をみたことがあります。

ほんとうにそっくりです。

こうなると鶴太郎さんが肉体的なことだけではなくて、何かあたらしい精神的な境地に到達したのではないかと、そんなところにも興味が湧いてきます。

体調が良くて充実感もあって、ということなのでいうことはないのですが、それにしてもここまで身体をそぎ落としてしまってほんとうに大丈夫なのか心配になってきます。

この状態、トラブルがおこっていない段階ではまったく問題がない、というかむしろ非常に健康なのだと思うのですが、ひとたび何らかの不調が起きてきた場合にそれに対応できるのか懸念をおぼえます。

肥満体だった人が大きな手術をして退院後に別人のようにスリムになっていた、というような事例をよくみかけますが、これは病巣の除去、修復という非常に大きな身体ストレスに対して持ち前の体脂肪や筋肉を消費した結果にちがいありません。

まさに身を削りながらの闘病・回復ということになります。

こういう観点からかんがえると「無駄なものはなにももたない」ふうに見える鶴太郎さんのすさまじいまでのアプローチについても少し検討が要るような気がしますが。

そもそも、手術が必要になるような病気にならないよ、ということでしょうか。

ともあれ、どんなジャンルにも挑戦してプロフェッショナルなレベルまで到達してしまう鶴太郎さんにしてみれば、活き活きと新天地に突っ込んで行くということが重要なんですね。

ええ、大いに元気を頂ける思いがします。

これからも世間をあっ!と言わせ続けてほしいものです。


次回の更新は6/22(木)です。
カテゴリ : 健康 : 
2017/06/08 (9:00 am)
梅雨の時節になりました。

手紙文には「季節の変わり目につきくれぐれもご自愛ください」という定型文がありますが、考えてみれば季節の変わり目はほんとうにしょっちゅうあるなあと思います。

この時期には気圧が低くなっているために、からだが重く感じられたり古傷が痛んだりということがおこりがちです。

手首の脈をとる時に指三本をあてますが、その人差し指あたりの位置に「内関」というツボがあります。

ここを数分間、ゆっくり呼吸しながら5秒くらいづつ指圧すると低気圧の影響を和らげられるそうです(その他乗り物酔い防止にも)。

こういうツボの知識を持っているかどうかで健康状態はずいぶん左右されるのではないかと思います。

たとえば九九やラジオ体操を覚えるように全身の主要なツボを全国民が心得ておけばきっと莫大な健康メリットが生まれることと思います。

注射をしたり採血をしたりするのではなく、薬を飲むのでもなく指圧するだけですから誰でもどこでもいつでもできます。

かく言う私も今回改めて梅雨のシーズンと内関のツボの関係について改めて知ったばかりなのです。

他のツボについてもずいぶんうろ覚えの状態です。

これを機会に毎日少しづつ覚えて行こうかなと思い直しているところです。

栄養学の方はローカーボダイエットやケトン体ダイエット、肉食の是非、ストレッチの方法などなど、賛否どちらの側からもプラスとマイナスが指摘されるような一筋縄では行かない面がありますが、ツボについては一定の体系があるわけですから安心して覚えて行けばよいと思います。

まずは「内関のツボ」を手始めに・・・。


次回の更新は6/15(木)です。
カテゴリ : 健康 : 
2017/06/01 (9:00 am)
人工心臓、人工心肺、人工腎臓、人工血管、人工皮膚・・と何でも「人工」とつくものが開発され、実用化されています。

さすがに人工脳というようなものはないだろう、と思っていましたがAIが進化してきて今や囲碁や将棋では最高レベルの棋士と同格以上の戦績をおさめるまでになってきています。

苦渋に満ちた表情で敗戦のインタビューに答える名人達人の人たちの様子を見ていると、とうとう機械もこんなレベルにまで達したかという感慨があります。

ほんとうの意味での人間の脳の全体を機械が超えてしまうということは永久にないでしょうが、限定された領域であれば機械の進化には上限はないはずですから「人間はどうやったってAIにはかなわない」というところに、たとえば30年もすれば行ってしまうはずだと思います。

ともあれ、私たちが毎日つかっているスマホやパソコン、カーナビなどにしてもすでにかなりの部分「脳」の代替(あるいはそれ以上のこと)をしています。

コンピュータのことを中国語では電脳と書きます。

鉄腕アトムの頭は「電子頭脳」でした。

つまりコンピュータも広い意味での人工臓器です。

白内障の手術で眼球に挿入するレンズなどはまちがいなく人工臓器、体液の老廃物を濾しとる腎透析は人工の腎臓です。

インプラントの歯、大腿骨折をした人に使われる人工骨とうなども人工臓器としては身近なものです。

こういった人の身体に埋め込むようなデバイスはお医者さんによって据えつけられるものですが、もっと手軽なものたとえばコンタクトレンズ、メガネ、靴なども人工臓器と考えてよいところがあるように思います。

ついこの間、これまで使っていたメガネがだいぶ合わなくなってきたので新しいものにとりかえました。

私の知らない間にメガネ作りの技術もとても進化していて、あの手この手で眼の状態をあっという間に分析してしまう機器にもおどろきましたが、UVやブルーレイのカットはもちろん背後からレンズの内側にはいってくる光の反射まで防いで眼球をプロテクトするようなものが開発されていました。

事実、交換してからは格段に眼の疲れが減りました。

靴もそうです。

一日5000歩ほど歩く場合でも、一年間では200万歩近くになります。

足の裏には多数のツボがありますし、足首、膝、股関節から腰にかけて(あるいは全身の姿勢への)負担の多寡は累計でものすごい差になって現れてくるはずです。

ですから眼にメガネが合っていることと同じく「靴という人工臓器」が足に合っているかどうかということはとても重要なことだと思います。

眼、足、歯などは毎日駆使するものであり、日常の刺激の累計が膨大である点、少しお金をかけてでも十分にフィットしたものを装着しておくことは健康の秘訣といえるかもしれません。

じっくり時間をかけて専門家に相談しながらメガネを選び、買いかえてみて、無造作に外見中心に靴を選んでいたことに思わずハッとしました。

今度はぜひ「進化した靴屋さん」を探してみたいと思います。


次回の更新は6/8(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/05/25 (9:00 am)
わたしの最近の得意技のひとつはいいレストランや飲み屋さん、喫茶店などを直感でさがしあてることです。

ウェブサイトの口コミ情報などに頼るのではなくてあくまでもお店のたたずまいだけをたよりに探します。

というよりたまたま歩いていたり車に乗って通りがかったりするときに「あれっ?」と気になったら入ってみるわけです。

ここのところ特に運がついているようで、何軒かたて続けに「すごい!」とびっくりするようなレストランやカフェを見つけることができています。

数えたわけではないので正確なところはわかりませんが、どうも最近その「打率」がぐんぐんと上がってきているような自覚があるのです。

ところで脳の奥まったところに大脳基底核という部分があります。

さらにそこには尾状核なる部位がありますが、この領域はいわゆる「直感」がはたらくときに作動していることが最近の研究でわかってきています。

将棋の棋士などはここが非常に発達しているということです。

興味深いのは脳のこの部分というのは年齢が高くなってきてからも訓練次第で鍛えられるのだそうです。

直感とは何か、というとたぶん「言語を介さないである結論に到達すること」といったところでしょう。

あれこれ考えるのではなく、一瞬に結論がわかるということは驚くべき能力だと思います。

言葉を介さないので、自分でもなぜそれがわかったのか、それを他人に説明することができないということです。
齢をとれば脳なんて衰える一方、と思われるのが一般的ですが大脳基底核に関しては加齢とともに発達するのだそうです。

レストランやカフェをウェブにたよらずにみつける、というようなことももしかしたら私の脳の奥が「熟成」してきたせいかもしれないな、などと考えながらちょっと愉快になっている今日この頃です。


次回の更新は6/1(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/05/18 (9:00 am)
かつて上方で林家小染という噺家がいました。

この人は好角家(相撲好き)でも有名で、懇意にしていた力士も少なくなかったようです。

力士と言えばもちろん大食漢も多いわけですが、小染さんによれば中でも飛び抜けていたのは福の花という人だったそうです。

小染「関取、焼き肉やったらどのくらい食べられますか?」

福の花関「焼肉か、どのくらいやと思う?

小染「さあ、私も噺家の中ではよう食べる方で、7−8人前くらいやったら食べられますさかい、関取やったら20人前ぐらいですか」

福の花関「いやいや53人前や」

小染「53人前!?」

いくら巨漢の力士とはいえこの食欲は超弩級ですが、これに対する小染さんのコメントがおもしろかった「こらすごい。なんせ、ひとクラス分の給食を一人で食べるようなもんでっさかいなぁ!」(爆笑)

なるほど、途方もない胃袋です。

ところでこの前テレビで女性の大食いの人が競い合う番組をみました。

こういう人たちはフードファイターと呼ばれるのだそうですね。

数人の札付きの実力者がハワイで何日かにわたって次々にいろんなメニューを平らげてゆくのですが、1キロのT-ボーンステーキあり一羽丸ごとのチキンあり丼ものありラーメンあり、と、それはそれはこれでもかというくらいのたべものがあっという間に女性たちの胃袋に流し込まれて行きました。

最後の決勝戦となったラーメンでは皆15杯前後も平らげていたと思います。

これを見ていて不思議に思ったのは、こういう女性フードファイターの人たちというのは決して太ってもいないし大柄でもないことです。

見た目はふつう、というよりむしろ小柄な人が多いようにみえます。

以前ギャル曽根という女性フードファイターがどんどん食べているところをレントゲンで撮影しながら調べて行くのを見たことがあります。

論評していた消化器内科のお医者さんも「こんなに大きくなった胃袋はみたことがない!」と仰天していました。

なんでも通常の15倍だかの大きさまで膨張しているんだそうです。

まあそうでもなければ数キロ以上におよぶ食材を食べ続けることはできないでしょう。

ともかくレントゲンでは胴体のほとんどが胃に占拠されているように見えていました。

この人たちの身体がどうなっているのか、想像するしかありませんが、食べた物が吸収されないか、ものすごい速度で燃焼しているか、そんなところでしょう。

しかしもし吸収されないのだとしたら、普通の食事ではもたないはず、なのでそんなことはないと思います。

食べた端からどんどん燃焼しているのだとしたら・・・そのエネルギーは特に運動もしていないのであれば熱になるはずです。

けれども体温は平熱のまま・・・ガンガン燃えている、のでもなさそうです・・・。

仮に非常な速度で燃焼しているのだとしたら、普通の食事をしているときにはたちまちエネルギー不足になってしまうにちがいありません。

力士であれば大きな身体に吸収され、はげしい稽古が求めるエネルギー需要に対応してそれなりにバランスするのだと思いますが、小柄な女性の場合には本当に不思議なことです。

幽門という、胃から十二指腸につながる出口が閉塞したような状態になると「胃拡張」という病気になりますが、この場合にはたちまちにして嘔吐が起こったりして身体が受け付けなくなります。

いずれにしても私はその番組をみている間ずっと不思議だ不思議だと繰り返し思っていたばかりで、感心もしなければとくに面白くもありませんでした。

危険極まりない行為なのでこういう番組は如何なものかと思いますが、そもそもそういう特殊な体質の人は「やってみようかな?」という気持ちになるのでしょうね。

人間どんなことであっても「やってみようかな」という気になることについては適性があるということなのかもしれないな、などとあらぬ方向にまで思いが及びました。

それにしても・・・いやはや・・・!


次回の更新は5/25(木)です。
カテゴリ : 健康 : 
2017/05/11 (9:00 am)
漫画家の田中圭一さんの『うつヌケ』という作品が話題になっています。

自らのウツとそこから抜け出した経験をはじめ、多くの著名人の人たちの体験がわかりやすく描かれています。

「わかりやすく」といっても、実は非常に難しいことです。

ウツにはそれになってみなければわからない独特のものだからです。

それだけに「わかりやすく」伝えることが重要なのですが、ここではマンガがとてもすぐれたツールになっています。

わたしも最近ウツの人と長時間向き合う経験をしていますが、この疾病のむつかしいところはトンネルの出口が結構近いのかずいぶん遠いのかが外から見ていてまったくわからないところにあると思います。

どんなに長いトンネルでもいま3割までクリアできたなとか、あと半分だとかいうことが血液検査の数値などで見えればよいのですが、それがわかりません。

またふさぎ込んでいることの原因が疲労なのか、不安なのか、混乱なのか、不眠なのか、昼夜リズムの崩れなのか、栄養失調なのか、運動不足なのか・・・・これもよくわかりません。

というよりこれらすべての要素が混然一体となってもつれあっているのです。

それから脳神経細胞の故障といった問題もあります。

ハードウェアの故障ですからこれは擦り傷、切り傷、骨折などと同じで、あと形もなく回復するまでには一定の時間がかかります。

昔はこれらを一緒くたにかんがえて「根性が足りない」「なまけもの」などとみなされたのですから何とも気の毒な状況でした。
現在はもっと社会的に理解が進んでいます。

けれども、抑うつ、不安、疲労といった要素を分けてかんがえることの必要性はまだまだ一般には知られていませんし、ハードウェアの故障が癒えるまでは待つほかない、といったことはなおさら理解が手薄なところだと思います。

またあらゆる病気がそうであるように、心の病も罹ってしまってからそれを元に戻すより、事前に抑止するエネルギーの方がずっと小さくて済む、ということは言えるでしょう。

認知症と並んでウツの対処法もまだまだ未熟な段階にあるのだと思います。


次回の更新は5/18(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/05/04 (9:00 am)
日本人が他国の人とちがうところはさまざまありますが、お風呂をたのしむ習慣もそのひとつでしょう。

東日本大震災の時に自衛隊の人たちが設営した大きなビニルプールのような設備にお湯をはって入っておられる被災地の方たちの様子をテレビでみたことがあります。

何日かぶりで肩までつかる温かいお湯に心底から「生き返った!」という表情がなんとも印象的でした。

今ではお風呂のお湯もスイッチひとつで難なくたてることができますが、ずっと以前には銭湯に行くか薪割で一回づつわかさなければならなかったわけです。

古い映画などでは板を下に敷いて五右衛門風呂につかっている主(あるじ)が「もっと熱く」と窓越しに怒鳴ると外にいる書生さんや女中さんが一生懸命薪をくべるようなシーンがときどきみられます。

このお風呂ですが、43℃くらいであれば「熱っ!」となりますし40℃ならどうも物足りなく感じるような微妙なしろものです。

40〜43℃というとほんとうにわずかな差ですが、私たちにはその微妙な範囲においてのみ心地よさを感じることができます。

これはもちろん体温が36℃台という細かいところで微調整されていることとも関係があります。

体温計が37℃になると微熱ですし35℃ならこれもかなり具合が悪いのです。

たとえば40℃に設定された150リットルのお湯で満たされたお風呂があり、そこにザブンと飛び込んだとします。

ヒトの身体の水分量は体重のおよそ60%ですから60キロの人なら36キロ、だいたい36リットルになります。

36リットルというとストーブの灯油タンク2つ分と同じです。

つまり大人ひとりが40℃のお湯に入るときには36℃の灯油ポリタンク2本分の水を注ぐのと同じ温度変化が生じることになります。

湯船につかった直後はけっこう気持ち良くてもお湯そのものの温度は時々刻々下がって行きます。

そこで主は「もっと熱く!」と怒鳴ることになったのです。

逆もまたしかりで42℃を超えるあたりからヒートショックプロテインという熱に反応するタンパク質やその関連遺伝子が応答しはじめますので今度は熱くて飛び出したくなります。

しかし大きな温泉や温度の自動調節ができる最近の家庭のお風呂ではこのあたりの調節が絶妙にできますので私たちはごくあたりまえにそれを享受しています。

冬場の寒い時期など熱いお湯にさっとつかって上がるよりややぬるめのお湯にゆっくり入った方が良いという有名な教えは、結局36リットル36℃の身体の水分に対して湯船のお湯の熱量が十分に交換されないと風呂上りの温かさが確保されない、そこのところを指しているのでしょう。

私たち日本人はそんなお風呂に慣れ親しんでいますが海外ではシャワーだけで済ませてしまうところも少なくありません。

身体を清潔にするということだけであればシャワーで十分なはずですが体温を微妙に調節しながら他にすることもなくゆったり湯船につかるという習慣は脳や自律神経などにも大いに影響してきます。

「温度調節が自在のお風呂」は生物の体温調節能力に対応した精密機械とも言えそうです。

もしかしたら日本人の寿命を伸ばすことにも一役買っているのではないかと思います。

GW中はどこかに行楽にでかけるのもすてきですが、少し早めの時間からゆったりとお風呂を楽しむというのもなかなかオツな過ごし方ではないでしょうか。


次回の更新は5/11(木)です。
2017/04/27 (9:00 am)
先日ある週刊誌に、トクホとして販売されている難消化性デキストリンなどを含む健康食品について「実は効かない」とする記事が二週にわたって掲載されずいぶん話題になりました。

私も読んでみましたが、どうもトクホの根拠になっている論文を有識者(大学の名誉教授の人など)が調べたところ、脂肪の排出促進などに関する件の論文の有効性データが不十分だということのようでした。

そのトクホのコーラの「脂肪排出力」を信用して毎日飲み続け計算してみるとなんと36万5000円もの資金をつぎ込んでいた人がいるそうです。

その人は毎日1.5リットルのペットボトルを飲み続ける日々を送ってきたそうですが、「効かない」とする週刊誌の記事を読んで愕然とし、はげしい怒りが込み上げてきたということです。

私はこの記事を読んで特に驚きはしませんでしたが、随所に問題はあるなという気はしました。

まず、そういうトクホの認定を得るような商品の根拠になっている論文をどういうスタンスで理解するのかということがあります。

もちろん専門家の審査を経た論文ですから虚偽が書かれているとは思われませんが、医薬品にしても食品にしても「100 %効果があること」が示されることはありません。

また誰が、いつ、どんな条件で飲むのかということは予想できませんが、論文ではある一定の条件を設定せざるを得ません。

効き目を客観的に評価するために有意差検定という統計処理を行い、効いたのが偶然ではないということを示すルールになっています。

たとえば野球4割打者といえば間違いなく強打者ですがそれでも6割は凡退しているわけです。

トクホに裏切られたと逆上する人は、もしかするとその商品が10割の打率であると思っているのではないかと思います。

だからこそ毎日それを飲み続け、途方もない出費額になったということでしょう。

私はそういう事例に接して、そのメーカーが消費者を欺いているとは思いません。

私たちは朝起きてから寝るまでのあいだに実にたくさんのチョイスをおこなっています。

朝食に何を食べるか、運動不足だから少し早めに家を出て一駅分を歩くかどうか、昼食を中華にするか和定食にするかあるいは野菜サラダだけにするか、午後に飲むコーヒーにはフレッシュミルクと砂糖を入れるかどうか、夕食のときに酎ハイにするかハイボールにするか・・・

たとえば今から30-40年以上も前であれば、そういう選択は気持ちと食欲のおもむくままだったことと思います。

もしお医者さんの忠告などを受けて健康に留意している人があったとしても、そもそもトクホ製品など世の中になかったわけですからのどが渇けば缶ジュースやサイダーを買って飲むしかありませんでした。

現代社会はその点が充実してきており、選択肢に関しては相当なバラエティが生みだされています。

ある日ハンバーガーを食べながらたまにはコーラもいいな、と思ったとします。

そこでコンビニに行きますと「ふつうのコーラ」「ダイエットコーラ」「トクホのコーラ」などの選択肢が眼の前に用意されているわけです。

健康に気をつかっている人ならここで「トクホのコーラ」をやや高い値段を払ってでも選ぶ可能性は高いと思います。

そして実際「ふつうのコーラ」を飲むよりはいくぶんかでも健康留意に役立つ方向に進んで行くことができるでしょう。

こういうところ、つまり「柔らかいチョイス」にトクホというオプションが用意できること、ここにひとつの存在価値があると私は考えています。

36万円も払って飲みつづけた人が「実は効かない」という週刊誌の記事を読んで怒り心頭に達したというのは、そもそも健康ということに対する気構えが「厳しいようで甘い」と思うのです。

「健康はひとつのトクホ製品によって支えられる」などと信じて疑わない人は逆にその他の食習慣や運動習慣をどう心得ているのか問いたくなってきます。

もちろん供給する企業としては真摯に開発と研究を行い、できるだけ確実な効き目をめざすべきだとは思います。

そしてその意味で「考え方の甘い企業」が一部に存在することも事実だと思います。

さらにそういう実態について一面的な結論に向けて記事にしようとする週刊誌にも問題はあるはずです。

最終的には毎日のさまざまなチョイスに際して「どちらかといえば健康に良いのはこちら」という柔らかい選択をしながら生きてゆくこと、これが最も重要なことではないかと思います。


次回の更新は5/4(木)です。

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