執筆者の紹介

王堂 哲
ロンザジャパン社勤務。

L-カルニチンに限らず、すぐれたサプリメントがきめ細かく研究され、正しく用いられながら日本人のQOL向上に役立つことをテーマとして活動している。


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カテゴリ : 健康 : 
2017/05/11 (9:00 am)
漫画家の田中圭一さんの『うつヌケ』という作品が話題になっています。

自らのウツとそこから抜け出した経験をはじめ、多くの著名人の人たちの体験がわかりやすく描かれています。

「わかりやすく」といっても、実は非常に難しいことです。

ウツにはそれになってみなければわからない独特のものだからです。

それだけに「わかりやすく」伝えることが重要なのですが、ここではマンガがとてもすぐれたツールになっています。

わたしも最近ウツの人と長時間向き合う経験をしていますが、この疾病のむつかしいところはトンネルの出口が結構近いのかずいぶん遠いのかが外から見ていてまったくわからないところにあると思います。

どんなに長いトンネルでもいま3割までクリアできたなとか、あと半分だとかいうことが血液検査の数値などで見えればよいのですが、それがわかりません。

またふさぎ込んでいることの原因が疲労なのか、不安なのか、混乱なのか、不眠なのか、昼夜リズムの崩れなのか、栄養失調なのか、運動不足なのか・・・・これもよくわかりません。

というよりこれらすべての要素が混然一体となってもつれあっているのです。

それから脳神経細胞の故障といった問題もあります。

ハードウェアの故障ですからこれは擦り傷、切り傷、骨折などと同じで、あと形もなく回復するまでには一定の時間がかかります。

昔はこれらを一緒くたにかんがえて「根性が足りない」「なまけもの」などとみなされたのですから何とも気の毒な状況でした。
現在はもっと社会的に理解が進んでいます。

けれども、抑うつ、不安、疲労といった要素を分けてかんがえることの必要性はまだまだ一般には知られていませんし、ハードウェアの故障が癒えるまでは待つほかない、といったことはなおさら理解が手薄なところだと思います。

またあらゆる病気がそうであるように、心の病も罹ってしまってからそれを元に戻すより、事前に抑止するエネルギーの方がずっと小さくて済む、ということは言えるでしょう。

認知症と並んでウツの対処法もまだまだ未熟な段階にあるのだと思います。


次回の更新は5/18(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/05/04 (9:00 am)
日本人が他国の人とちがうところはさまざまありますが、お風呂をたのしむ習慣もそのひとつでしょう。

東日本大震災の時に自衛隊の人たちが設営した大きなビニルプールのような設備にお湯をはって入っておられる被災地の方たちの様子をテレビでみたことがあります。

何日かぶりで肩までつかる温かいお湯に心底から「生き返った!」という表情がなんとも印象的でした。

今ではお風呂のお湯もスイッチひとつで難なくたてることができますが、ずっと以前には銭湯に行くか薪割で一回づつわかさなければならなかったわけです。

古い映画などでは板を下に敷いて五右衛門風呂につかっている主(あるじ)が「もっと熱く」と窓越しに怒鳴ると外にいる書生さんや女中さんが一生懸命薪をくべるようなシーンがときどきみられます。

このお風呂ですが、43℃くらいであれば「熱っ!」となりますし40℃ならどうも物足りなく感じるような微妙なしろものです。

40〜43℃というとほんとうにわずかな差ですが、私たちにはその微妙な範囲においてのみ心地よさを感じることができます。

これはもちろん体温が36℃台という細かいところで微調整されていることとも関係があります。

体温計が37℃になると微熱ですし35℃ならこれもかなり具合が悪いのです。

たとえば40℃に設定された150リットルのお湯で満たされたお風呂があり、そこにザブンと飛び込んだとします。

ヒトの身体の水分量は体重のおよそ60%ですから60キロの人なら36キロ、だいたい36リットルになります。

36リットルというとストーブの灯油タンク2つ分と同じです。

つまり大人ひとりが40℃のお湯に入るときには36℃の灯油ポリタンク2本分の水を注ぐのと同じ温度変化が生じることになります。

湯船につかった直後はけっこう気持ち良くてもお湯そのものの温度は時々刻々下がって行きます。

そこで主は「もっと熱く!」と怒鳴ることになったのです。

逆もまたしかりで42℃を超えるあたりからヒートショックプロテインという熱に反応するタンパク質やその関連遺伝子が応答しはじめますので今度は熱くて飛び出したくなります。

しかし大きな温泉や温度の自動調節ができる最近の家庭のお風呂ではこのあたりの調節が絶妙にできますので私たちはごくあたりまえにそれを享受しています。

冬場の寒い時期など熱いお湯にさっとつかって上がるよりややぬるめのお湯にゆっくり入った方が良いという有名な教えは、結局36リットル36℃の身体の水分に対して湯船のお湯の熱量が十分に交換されないと風呂上りの温かさが確保されない、そこのところを指しているのでしょう。

私たち日本人はそんなお風呂に慣れ親しんでいますが海外ではシャワーだけで済ませてしまうところも少なくありません。

身体を清潔にするということだけであればシャワーで十分なはずですが体温を微妙に調節しながら他にすることもなくゆったり湯船につかるという習慣は脳や自律神経などにも大いに影響してきます。

「温度調節が自在のお風呂」は生物の体温調節能力に対応した精密機械とも言えそうです。

もしかしたら日本人の寿命を伸ばすことにも一役買っているのではないかと思います。

GW中はどこかに行楽にでかけるのもすてきですが、少し早めの時間からゆったりとお風呂を楽しむというのもなかなかオツな過ごし方ではないでしょうか。


次回の更新は5/11(木)です。
2017/04/27 (9:00 am)
先日ある週刊誌に、トクホとして販売されている難消化性デキストリンなどを含む健康食品について「実は効かない」とする記事が二週にわたって掲載されずいぶん話題になりました。

私も読んでみましたが、どうもトクホの根拠になっている論文を有識者(大学の名誉教授の人など)が調べたところ、脂肪の排出促進などに関する件の論文の有効性データが不十分だということのようでした。

そのトクホのコーラの「脂肪排出力」を信用して毎日飲み続け計算してみるとなんと36万5000円もの資金をつぎ込んでいた人がいるそうです。

その人は毎日1.5リットルのペットボトルを飲み続ける日々を送ってきたそうですが、「効かない」とする週刊誌の記事を読んで愕然とし、はげしい怒りが込み上げてきたということです。

私はこの記事を読んで特に驚きはしませんでしたが、随所に問題はあるなという気はしました。

まず、そういうトクホの認定を得るような商品の根拠になっている論文をどういうスタンスで理解するのかということがあります。

もちろん専門家の審査を経た論文ですから虚偽が書かれているとは思われませんが、医薬品にしても食品にしても「100 %効果があること」が示されることはありません。

また誰が、いつ、どんな条件で飲むのかということは予想できませんが、論文ではある一定の条件を設定せざるを得ません。

効き目を客観的に評価するために有意差検定という統計処理を行い、効いたのが偶然ではないということを示すルールになっています。

たとえば野球4割打者といえば間違いなく強打者ですがそれでも6割は凡退しているわけです。

トクホに裏切られたと逆上する人は、もしかするとその商品が10割の打率であると思っているのではないかと思います。

だからこそ毎日それを飲み続け、途方もない出費額になったということでしょう。

私はそういう事例に接して、そのメーカーが消費者を欺いているとは思いません。

私たちは朝起きてから寝るまでのあいだに実にたくさんのチョイスをおこなっています。

朝食に何を食べるか、運動不足だから少し早めに家を出て一駅分を歩くかどうか、昼食を中華にするか和定食にするかあるいは野菜サラダだけにするか、午後に飲むコーヒーにはフレッシュミルクと砂糖を入れるかどうか、夕食のときに酎ハイにするかハイボールにするか・・・

たとえば今から30-40年以上も前であれば、そういう選択は気持ちと食欲のおもむくままだったことと思います。

もしお医者さんの忠告などを受けて健康に留意している人があったとしても、そもそもトクホ製品など世の中になかったわけですからのどが渇けば缶ジュースやサイダーを買って飲むしかありませんでした。

現代社会はその点が充実してきており、選択肢に関しては相当なバラエティが生みだされています。

ある日ハンバーガーを食べながらたまにはコーラもいいな、と思ったとします。

そこでコンビニに行きますと「ふつうのコーラ」「ダイエットコーラ」「トクホのコーラ」などの選択肢が眼の前に用意されているわけです。

健康に気をつかっている人ならここで「トクホのコーラ」をやや高い値段を払ってでも選ぶ可能性は高いと思います。

そして実際「ふつうのコーラ」を飲むよりはいくぶんかでも健康留意に役立つ方向に進んで行くことができるでしょう。

こういうところ、つまり「柔らかいチョイス」にトクホというオプションが用意できること、ここにひとつの存在価値があると私は考えています。

36万円も払って飲みつづけた人が「実は効かない」という週刊誌の記事を読んで怒り心頭に達したというのは、そもそも健康ということに対する気構えが「厳しいようで甘い」と思うのです。

「健康はひとつのトクホ製品によって支えられる」などと信じて疑わない人は逆にその他の食習慣や運動習慣をどう心得ているのか問いたくなってきます。

もちろん供給する企業としては真摯に開発と研究を行い、できるだけ確実な効き目をめざすべきだとは思います。

そしてその意味で「考え方の甘い企業」が一部に存在することも事実だと思います。

さらにそういう実態について一面的な結論に向けて記事にしようとする週刊誌にも問題はあるはずです。

最終的には毎日のさまざまなチョイスに際して「どちらかといえば健康に良いのはこちら」という柔らかい選択をしながら生きてゆくこと、これが最も重要なことではないかと思います。


次回の更新は5/4(木)です。
2017/04/20 (9:00 am)
化学記号で(CH2O)nと書かれてもピンと来ないかもしれません。

これを漢字に直すと(炭・水)nですが、これでもまだよくわかりません。

炭と水がくっついて「化けた物」とすれば、「炭水化物」となり、これでだんだん通じてきます。

文字どおり炭水化物は炭と水がくっついてできたものですので、たとえば炭水化物の一種である木材や紙、お米などを燃やすと水が抜けてあとに炭が残ります。

ここまでは化学の話ですが、炭水化物はさらに細かく「法律によって」分類されています。

炭水化物の中でもブドウ糖やショ糖(グラニュー糖)のように食べればほぼそのままエネルギーに変わるものは「糖類」です。

この糖類にデンプン(ブドウ糖が多数つながったもの)や人工甘味料などを加えたもの、それが「糖質」と定義されています。

つまり「糖類」は「糖質」の一部です。

炭水化物から「糖質」を差し引いたら何が残るか、というと「食物繊維」が残ります。

というわけで「炭水化物」は「糖質」と「食物繊維」からできていて、さらに「糖質」の一部に「糖類」があるというわけです。

食物繊維はさらに水に溶けるものと溶けないものに分類されますが、法律ではそこまで区別していません。

ところで「糖類」は「糖質」の一部なのですから「糖質ゼロ」の方が「糖類ゼロ」よりも含んでいるものが少ないことになります。

たとえば「糖類ゼロ」という場合にはブドウ糖ははいっていませんがデンプンは入っているかもしれません。

デンプンは酵素(アミラーゼ)によって分解されてブドウ糖「糖類」になり、それはエネルギーになります。

「糖質ゼロ」でも「炭水化物」が含まれているというのなら、「食物繊維」があることになります。

しかし「食物繊維」はエネルギーにはなりませんので、結局「糖質ゼロ」とあれば一応カロリーは非常に少ないものと考えてよいわけです。

こんな分類は何故あるのか?というと、食品製品のラベルにそういう情報を書いておくことによって消費者は「カロリーが低い製品はどれか?」を判断できるからです。

ただしこれはあくまでも法律の世界での理屈であり、科学的な分類ではありません。

消費者に与えられる情報が科学的なものか法律的なルールに基づくものか、といったことはそれこそ「消費者には関係のないこと」ですが、理解できるものでなければ困ります。

大学の専門学部で生化学など教えている先生でも「糖質」と「糖類」のちがい、といってもまともに答えられる人は少ないと思います。

それはこの分類が法律によるものだからですが、いずれにしてもここで私が思うことは「こんなにわかりにくくていいのかな?」ということです。

食品のラベル表示にはかなり厳密な取り決めがありますが、狭い面積に細かい字で書かれたことも読まれて理解されなければ意味がありません。

とはいえ、「糖質」と「糖類」、「食物繊維」そして「炭水化物」の関係あたりを理解されれば自分の欲しいものを選びやすくなるかもしれません。

糖尿病傾向の人や風邪や食欲不振で元気が出ない人、それぞれが何を選べばよいか?

お役人の方々にはどうかもっとわかりやすいものをめざして頂きたいと思います。


次回の更新は4/27(木)です。
カテゴリ : 食生活 : 
2017/04/13 (9:00 am)
この前テレビで缶詰めの特集をやっていたのを偶然見て驚きました。

同じ缶詰めでも早めに食べた方が良いもの(野菜など)と賞味期限間際が最も美味しくなるもの(魚など)があるとか、缶詰めを食材にして料理するとびっくりするくらい手早く「じっくり煮込んだ感」のあるメニューができるとかいうことです。

これまで缶詰めというと「時間のない時、それで済まそう」というふうに何となく手抜き感覚のようなものがありましたが、ある一流の料理人の言によれば缶詰めというものは「非常に高度に調理されたすぐれた食材」なのだそうです。

たとえば炒めた玉ねぎに牛肉の大和煮、缶詰めのホワイトソースを加え、ケチャップとウスターソースで味付けをするとあっという間に最高においしいハヤシライスができるということです。

スタジオでの試作品をゲストの人達が食べていましたが実際みごとな出来栄えだったようでみな一様にうなっていました。

また、サバやサンマ、イワシなどの缶詰はオイルの中にω-3脂肪酸が入っているのでこれを捨ててしまうのはとんでもなくもったいない、ということも改めて認識しました。

かんがえてみればその通りですが、何となく缶詰めの汁などに特別な価値があるとは考えず、ほとんど捨ててしまっていたなあと思います。

あと、これはまた別の番組ですが昔ながらの「もと」を使ってカレーを作る時に、ピーチネクターを一本分入れると一流ホテルのカレーの味になる、というのも見ました。

実際多くの人がホテルのカレーと食べ比べてどちらが即席のものかあてられずにあきれたり失笑を買ったりしていたのです。

実践女子大学の田嶋先生の謎解きによれば、この場合はピーチネクターの甘味とそこに含まれているペクチンという水溶性の食物繊維が醸し出すとろみの効果らしいということでした。

水溶性食物繊維はまた腸内細菌の保養に役立つ成分ですから、そういう面でもメリットが見込めるのではないでしょうか。

また、安い蒸しケーキを3時間冷凍庫で凍らせると、生地の食感が変化してこれまたコクに満ちた最高レベルのチーズケーキと区別がつかなくなるという実験もありました。

なんとゲストの全員がまちがってしまったのです。

手抜き料理というと聞こえがよくありませんが、あらかじめ引き上げられた調理度に何かひと手間ふた手間を加えて最高の美味や栄養価値を享受する方法というのはもっと見直されてもよいのかもしれません。

缶詰め流ハヤシライス、ピーチネクター式カレーライス、冷凍裏ワザ蒸しケーキ・・・試してみたくなりませんか?


次回の更新は4/20(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/04/06 (9:00 am)
先月の国会でのこと、ある野党議員が麻生大臣に対して「人間が生きる上でいちばん必要なものは“空気”、では2番目に必要なものは何か?」という謎かけ的な質問をしました。

これを受けて麻生さんは「人間が生きていく上で大事なことは朝は希望を持って目覚め、昼は懸命に働き、夜は感謝と共に眠る、この気持ちだと思っています」と切り返しました。

はっきりいって質問者が誘導したかった趣旨とはちがう回答だったわけですが、グンと高い次元から降ってきた一連の言葉に当の野党議員も思わず脱帽、感服の意を表明していました。

国会の場でこういう形而上的なフレーズが交わされることはあまりないことですので私もちょっと驚きましたが、あとでお風呂にゆっくりつかりながらふとこれを思い出し、ほんとうにそうだなあ、そうできればいいなあ、と妙に納得しました。

とくに私が感じたことはふたつあります。

一つ目はこの朝、昼、夜の気構えというのは「心身の健康」と表裏一体になっているだろうということでした。

先の稀勢の里優勝の日など、彼はまさに(逆転優勝への)希望をもって目覚め、懸命に相撲を取り、夜は感謝をもって眠りに就いたのではないでしょうか。

横綱は負傷していましたから身体の方は決して健康とはいえない状況でした。

けれども「心の健康力」がそれをみごとに補ったのではないかと思います。

「どうせケガをしてるんだから本当なら休場なんだ。土俵に上がるだけでもいいんだ、勝てるわけなんかないんだ」と思っていたらあのような結果を生むことは200%できなかったにちがいありません。

もうひとつ思ったことは、希望→懸命→感謝というパターンは一過性のものではなくて希望→懸命→感謝→希望→懸命→感謝・・・という連続性でなりたっているようだということです。

すると一日づつの単発ではなく、一日が二日になり、一週間になり、ひと月になり・・・とだんだん拡大して行けることになります。

また今月は希望を宿し、来月は一生懸命に働き、再来月は感謝をささげる、というようなふうにはなりません。

やはりお日さまが出て、日中天上を照らし、日が落ちてゆく、というこのサイクルに人間の生命リズムの基本があるということでしょう。

実際には、希望をもって目覚められない時、仕事に打ち込めない時、感謝より不安で眠れない時、こういう日も少なくありません。

それでも「麻生さんのサイクル」を念頭に置いてリセットや調整をしながら日々を送ることはいろんな意味でよい影響をもたらすのではないかと思いました。

「働き方改革」などもいたずらにデジタル的な数値の多寡を議論するよりも、こういうどっしりした目標を基幹に据えて職場や個人が対応して行けばよいように思うのですが、いかがでしょうか。


次回の更新は4/13(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/03/30 (9:00 am)
先週横綱稀勢の里が10連勝中で破竹の勢いというときに実に楽しい気持ちでブログを書きました。

きっとこのままあっけらかんと全勝優勝でもしてしまうのだろう、と思っていたらなんと13日目に土俵下に落下して自重で肩を打撲するという大アクシデントに見舞われました。

このとき12日目の木曜日、私は相撲のニュースをチェックする時間がなくすっかり安心しきって乗り物で移動していたのですが13日目金曜日の夜にウェブニュースで「稀勢の里14日目も強行出場」と出ているのをみて驚きました。

14日目の取り組みではあっけなく敗退、というより休場せずに土俵に上がるだけでもたいへんだったに違いありません。

興味深かったのは14日目の夜(土曜日)のニュース番組です。

こと相撲に関してはお通夜のようになってしまいヘッドラインでタイトルは出ているものの報道はなし、もしかしたら悲劇の横綱に配慮して報道規制でも出ているのかと思われるほどでした。

致命的な傷を負いながら無理を押して土俵に上がる、そしてあっさり負けてしまう、というようなことはニュース報道としてもたしかにバリューに乏しいというか、とにかくまったく元気が出ない話ではあります。

そして迎えた15日目千秋楽、この日も観客は出場し続ける稀勢の里の悲壮感漂う雰囲気にとっぷりと浸されアナウンサーもテレビ解説者(元横綱北の富士さん)も始終全く意気消沈した語り口調でした。

優勝がかかっている照ノ富士、彼は彼で手負いの名横綱を相手にさぞかしやりにくいことだったでしょう。

しかしもはや横綱の優勝など確率はほぼゼロ、何とも後味のわるい幕切れだけがイメージされる状況でした。

ところがあろうことか終わってみれば稀勢がビックリ仰天の勝利を収めるや世の中の雰囲気がガラッとかわってしまいました。

そして優勝決定戦での連勝、と、現実は小説よりも奇なることをまざまざと感じさせられた一瞬でした。

これはすごい!!

大阪場所は一瞬にして我を忘れた狂喜乱舞のるつぼに豹変しました。

私自身、一週間前に悠然と十連勝を続ける稀勢の里の様子にもらっていた元気のオーラとは比べ物にならないくらいのオーラシャワーを浴びたように感じました。

大関照ノ富士も満身創痍、こちらの敢闘ぶりにも万雷の惜しみない拍手が贈られました。

いや、実にいいシーンでした。

稀勢の里はずいぶん大きい力士ですが調べてみたら身長は187センチで体重175キロ、対する照ノ富士はさらに大きく192センチ、185キロとのこと。

名勝負の後で笑ってしまったのは両者のBMI値です。

なんと横綱が50.04、大関が50.18だと。

25以上が肥満体型などと言われますが、その倍、こんなBMIは見たことがありません。

もちろんこの人たちの肥満度は通常の指標で計り知れるものではなく、筋肉の塊のような存在ですが、そこに何といってもあきらめない意志の強さ、闘志、といったものがガシッと貫かれているのが目に見えるようでした。

人間の肉体と意志の力が組み合わさったときには奇跡が起こることを目の当たりにしました。

これはものすごい健康の権化だと思いました。

また思い出して元気が湧いてきそうな気がしています、スバラシイ!


次回の更新は4/6(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/03/23 (9:00 am)
今年は何度も寒のもどりがあり、春がいっそう待ち遠しく思われます。

北国の春の到来は、これからまだ5月初旬まで少し間があります。

けれどもなんとか各地でサクラの開花宣言がはじまり「暑さ寒さも彼岸まで」ということばに説得力を感じます。

さてここへきて野球では侍ジャパンの爽やかな大躍進、相撲では新横綱稀勢の里の大人気に同部屋の関脇高安が史上初のアベック十連勝を果たし花を添えていて日本全体に元気が満ちている感じがします。

稀勢の里は先だっての初場所後に大関から横綱に推挙されたわけですが、その時点ではこの昇進、まだ時期尚早ではないかという声もかなりありました。

しかし実際その地位についてみると文字どおり心身ともに大きく安定感がぐっと増したようで、なんだか大阪の格技場全体がこの人の呼吸でゆったり覆われているような、そんな巨大なオーラが眼に見えるようです。

相撲の極意は心技体の充実にありと言われますが、稀勢の里の威容は人間たるものまず「心」の部分がすべてに先立つことを示してくれているように思われます。

彼は場所前の稽古で左目の額の脇に傷を負い10針以上を縫うような処置を受けていますが、そんなものは彼の現在の気力の前ではまったく影響のかけらもないようです。

生体防御といいますか、免疫力は気力の影響も大いに受けるものですが、横綱の身体の充実ぶりはそのあたりも十二分にカバーしているのでしょう。

そういう「気」の充実はきっとそれを観戦している側にも色濃く伝搬してくるにちがいありません。

一方をみれば難しそうな政治的課題が国内外の方々で頻発していますが、ここはひとつスポーツの世界に意識的に首を向けて元気をたくさんもらいながらしっかり仕事、そしてゴールデンウィークに突入!と行きたいものです。


次回の更新は3/30(木)です。
カテゴリ : つれづれ : 
2017/03/16 (9:00 am)
「なごり雪 (名残雪)」を辞書で引きますと、春になってもとけないで残っている雪、春が来てから降る雪、などと出ていました。

春は新生活が始まる次期でもあります。

新生活のはじまりはある人にとってはこれまでのくらしとの別れの時期であるかもしれません。

伊勢正三さんの名曲「なごり雪」はそんなせつない季節のドラマをあざやかに表出させた名曲です。

私はティーンエイジャーのころかぐや姫の『三階建ての詩』というLPアルバムでまだ有名でもなかったこの曲をはじめて聴いたときの強い印象をはっきり憶えています。

一方社会人になってしまいますと、そんなロマンチックな季節の変わり目に心を動かされる節目感も薄くなり、ついこのまえ年末年始のあいさつを交わしたと思ったらもうさくら前線の予報、そしてあっというまにまた一年が過ぎてゆくような気がします。

ところで、そういうメリハリ感が希薄な昨今ではあってもこのシーズンは「三寒四温」「暑さ寒さも彼岸まで」などという古くからの言葉であらわされているようにとかく体調の管理の難しい時期であることは確かです。

花粉のケアもして行かねばなりません。

こんなことばかり書いているとメランコリックになって「春のウツ」を誘導してしまいそうになりますが、春の本領はやっぱり明るさ、たのしさ、美しさ、という前向きなイメージにあるにちがいありません。

いま春が来て君はきれいになった
 
去年よりずっと、きれいになった

・・・名フレーズは何年経っても色あせないものだなあ・・・と思います。

おだいじに、そしてよい春をお迎えください。


次回の更新は3/23(木)です。
カテゴリ : 健康 : 
2017/03/09 (9:00 am)
代表的な疾患と日本人の患者数について少し調べてみました。

およそ以下のようでした。

骨粗しょう症患 1,300万人
高血圧性疾患 1,000万人
認知症 500万人
糖尿病 320万人
高脂血症 200万人
心疾患 170万
がん 160万人
うつ病・不安症  130万人
脳血管疾患 120万人

たとえば骨粗しょう症にかかっている人の割合は男:女≒3:1、つまりこれは女性に多い疾患で、70歳代の女性の場合5人に2人が該当するというのが現状です。

認知症であれば男女混合で65歳以上の5人に1人という数字が出てきます。

そう聞けばどれもけっこうリスクが高く、他人事ではないなあという気がしてきます。

しかし逆に考えれば、高齢女性に集中している骨粗しょう症でさえ、5人に3人は該当しない、問題なし、認知症なら5人中4人は大丈夫というわけです。

つまり罹患する側よりしない側の方がまだ多数派であるともいえます。

であればそれぞれの疾患の「多数派」に属する確率の方が高いということで、ここにひとつ希望が見えてきます。

そこで、ここに挙げた疾患のいずれについても「多数派」でいられるように心がけて生活する、というライフスタイルについて考えてみる、というのはいかがでしょうか。

代表疾患の多くは生活習慣(ライフスタイル)に左右されるファクターが少なくありません。

たとえば糖尿病ひとつだけに着目したとき、適度な運動をし、過食を避け、夜遅くの食事は控え、口腔を清潔にし・・・といくつか留意点が挙がってきますが、これらは同時に他の多くの疾患の予防にも強くつながって行きます。

つまり、ここにあげた9つの病気の予防策がそれぞれに3つづつあるとしても実行すべきことが27項目あるというわけではありません。

一方、たったひとりでこれら9つの疾患のすべてにかかってしまうというリスクも考えられるでしょう。

ここに「健康格差」の本質が見えてくるように思えます。

病気は必ずしも万遍なく襲ってくるというわけではなく「好ましくない生活習慣を持つ人」に集中的に複数のリスクが忍び寄ってくる、という認識です。

またこういう疾患はどれも突然やってくるのではなく、その予兆段階が必ずあります。

ここで健康な状態に引き返す、引き返し続ける、というイメージにもちょっと頼もしいリアリティがあるかもしれません。

結論として「私はどの疾患にも無縁な状態をめざす」というのが結局いちばんの方策といえるのかもしれません。

また、どれかにすでにひっかかってしまっているという人も、それについてまず集中的に克服すれば他のリスクも同時に退散させられる、まさに一病息災の気構えが役立つでしょう。

ここは欲張り気味、で行きたいものです。


次回の更新は3/16(木)です。

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