「サプリ上手」への手筋・道筋
ただ飲むだけで筋肉が増えるサプリメント、骨が太くなるサプリメント、脂肪が減って行くサプリメント、こういうものが仮にあるとすればどうなるでしょう。
飲み続けて2-3年も経つと筋肉モリモリ、骨はガシンと太くなり脂肪はほぼゼロと、そんな体躯が出現することになります。
さらに5年10年になれば間違いなくボディビルの世界大会でも優勝できるでしょう。
しかし実際にはそんなことはおこりません。
なぜでしょう?
それはサプリメントは「身体の変化の方向性」を決める役割をするものであって実際にボディビルダーになれるほどその方向に変化を進めて行くためには連綿とした一定以上の運動刺激と栄養刺激(補給)が必要だからです。
筋肉を増やす、脂肪を燃焼することなどに効果があるとされるサプリメントは「筋肉を増やす必要がある人」「脂肪を燃焼する必要がある人」に対して作用するはずで、必要がない場合には素通りしますが、その「素通りできる性質」こそがサプリメントの安全性だといえます。
これはサプリメントが原則として生命維持に有利な方向にだけ作用するということとも関係しています(ここが医薬品との違いでもあります。医薬品は疾患状態にある人にとって有利な方向と不利な方向(副作用)の綱引き関係を計算しながら使われる前提になっています)。
筋肉はもちろん動き回って生活する為に必須のものではありますが、その必要が満たされる限りある程度以上には大きくならないように(むしろ減って行く方向に)制御されます。
そうしなければ増えてきた筋肉を維持するためのエネルギー負担がいたずらに増えてしまうからです。
脂肪燃焼も同様でエネルギーの需要がないのに脂肪を燃やしてしまうことは「いざという時の生存の命綱」を失うことにつながりますので、そういうサプリメントを大量に飲んでもある程度のところでブレーキがかかります。
というわけで、ただ飲んだだけで体型がどんどん変化して来るサプリメントというものは(もしあるとすれば)かなり危険なものだと言わねばなりません。
「必要は発明の母」という言葉がありますが身体の中では「需要は体躯変化の母」という言い方ができるかもしれません。
では需要はどんな時に生じるのかといえば、それは「成長している時」「激しい運動をしている時」「加齢が進んでいる時」「疾患で身体が弱っている時」などです。
このことから、身体が特別な需要を生み出していない時にはまず普通の生活をしていればよく、サプリメントは要らない(というか飲んでも効かない)ということになります。
逆に様々な需要が生じている時にサプリメントを飲めば最も高い効果が期待できます。
つまり今の自分に必要なサプリメントは何か?を判断して行くことがサプリ利用のコツです。
脂肪燃焼に必須の成分であるL-カルニチンの場合、エネルギー需要の高いアスリート、加齢や疾患が進んでエネルギー代謝が減弱してきた人、L-カルニチンが身体内にやや不足しているため非常に肥満が進んでいる人、こういう方々が摂取すると大変効果が表れやすいといえます。
というわけで、ただ漫然と使用する健康食品はふつうあまり役には立たちません。
自分のからだの状態を正しく想像することができればそれが結局「サプリメント上手」ということになると思います。
次回の更新は2/9(木)です。
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