アフリカのサバンナでL-カルニチンの奪い合いを見た話
先日テレビでコロナ禍がアフリカの動物たちに影響を与えているという番組を見ました。
コロナウイルスに動物たちがたおれたという話ではありません。
ヒトがいなくなったところに動物たちのテリトリーが不自然な形で広がってしまったこと、そこに大洪水が重なったことが原因となっていわゆる食物連鎖に異常が起きたということを偶然に発見して行くドキュメンタリーです。
主にカメラが追っていたのはライオン、チータ、ワニ、ハイエナなどの肉食獣でした。
肉食獣が食料とするのはほぼ例外なく草食獣です。
草食獣は積極的な攻撃はしかけてきませんが、身体が頑丈だったり俊足だったりしますので、結局サバンナの草原で一頭の獲物を仕留めるためにライオンたちは莫大な体力を消耗します。
そしてなんとかひとつ獲物が得られるとやっとファミリーが食事にありつけるのですが、うかうかしているとやむなくハイエナの群れに譲り渡すようなことにもなってしまいます。
居住のテリトリーに狂いが生じるので、ライオンは普段襲う対象ではないカバをワニと奪い合うといったことも起こります。
私はこうした光景を見ているといつも肉食獣が欲しいのは肉であるとともにそこに含まれるL-カルニチンなのではないかと想像してしまいます。
というのは草しか食べない草食動物(とくに彼らの肝臓)こそがL-カルニチンの一次生産者であり、彼らは草原を大移動するために大量の脂肪を燃焼しながら生きていること、そして肉食動物は草食動物の筋肉に豊富に含まれているL-カルニチンを捕食によって補っているからです。
肉食獣は狩りのために瞬発力を爆発的に発揮する必要がありますが、その運動の後には体力回復のために身体を極力動かさずにいなければなりません。
この休憩時には専ら体脂肪が燃焼されてエネルギーが生み出されます。
積算するとじっとしている時間の方が狩りで動き回っている時間よりも相当長いので、狩りと狩りの間にはL-カルニチンもかなり消耗してしまいます。
狩る側も狩られる側も必死です。
そして非常に微妙なぎりぎりのバランスで生態系が成り立っています。
彼らはヒトとも共存する必要がありますが、今度のコロナ禍でその構造にほころびが生じると結局L-カルニチンの需要と供給の均衡もままならなくなりました。
記録映像にはL-カルニチンのことなど全く出てきませんでしたが、死活をかけて繰り広げられるアフリカサバンナの光景はたしかに物質としてのL-カルニチンの流れが現れているように思われました。
ドキュメンタリーはたまたま洪水に取り残された調査団のカメラがとらえた貴重な記録でした。
コロナ禍がヒトの社会だけではなくまったく思いもかけないL-カルニチンの収奪合戦などにものっぴきならない影響を与えていることを垣間見ることになりました。次回の更新は10/6(木)です。
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