国民皆保険を完璧に使いこなすためには・・・・?
日本には国民皆保険制度があるので民間の保険にはそれ以上入る必要はない、とよく言われます。
何か難しいガンがみつかりかなり入院して治療したのだが、終わってから請求書を見てみると普通の預金があれば十分に支払える額だった、ということを最近もある人から聞きました。
負担が後期高齢者で1割、現役の人でも3割負担。
つまりこれらは9割引き、7割引き。こんな割引率でできる買い物などそうはありません。
これだけの制度があればたしかにそれに加えての保険は不要という考えが出てきても不思議はありません。
実際「結局生涯一度も民間保険のお世話にならずに終わった」という人も多い筈、でなければ保険会社の経営が成り立つわけがありません。
ですが、一方で国民皆保険には難しい問題点もあります。
ひとつは、高齢者の人口が増えすぎてもはや社会保険料の財源が立ち行かなくなっているということです。
悪名高い消費税は社会保険目的税としての役割を負っているということですが、実際のところこれをすべて投入しても賄いきれないお金(1.5倍以上)が医療にかかっています。
今後団塊の世代の人たちがすべて本格的な後期高齢者に突入するようになるといよいよ日本の高齢化もクライマックスを迎えます。
けれども延命治療などが発達していますので、このクライマックスはそんなに短くないことが予想されます。
この財政的な困難が第一の問題です。
第二は延命治療をしていても、延命されている本人あるいはその家族がどういう気持ちでいるかということが千差万別であることです。
これは平均化して評価することはできません。
ひどい場合には自分の親や祖父母を延命治療させておいて振り込まれてくる年金を残る家族があてにしているなどという由々しきケースもあります。
一方、たとえ意識がなくても命永らえていることで周囲や家族が逆に励まされるようなこともあります。
結局は自分や周囲がどれだけ納得し、そういう状況を受け入れるかということに尽き、まさに倫理的な人生の問題。ですので個々の状況に立ち入ることにはおのずと限界があります。
では国民皆保険を使い切る最も優れた方法はなんでしょうか。
それは「やむを得ず医療のお世話になることになったらできるだけ短く健康体に戻って行くこと」もしくは「できるだけ早くこの世を去ること」。
しかし後者は他人が決められることではないのみならず、自分でも選択の余地がない難しい問題ですから、ここは永遠の課題です。
もう一方の「できるだけ短い施療機関で健康体に戻って生活できるようになること」これこそが私たちの意思と心がけ次第でコントロールできる領域です。
ここで国民皆保険の恩恵を十分に享受することは理にかなっています。
ということで、普段の生活習慣を見直して朝起きてから寝るまでの間「どちらかといえばこちらが健康に良いだろう」という選択肢を選び続けるリテラシーを身につけること、これが「賢い国民」として皆が助け合うための具体的な条件になるだろうと思います。
健康には「なんとかできること」と「どうしようもないこと」があり、前者について情報を得てよく考え、備えることが結局社会全体のためになるということです。
今回私自身がコロナに罹ってしまい一度クリニックのお世話になり、まさにありがたく健康保険の恩恵を受けることができました。
ですが、どうすれば罹らずに済んだのか?反省点はたくさんあります。
一番の教訓は「ムリをして時間を節約した気になっても結局そのツケは何倍かになって返ってくる」という当たり前のことでした。
クリニック行きが一回で済んだことに感謝しながら改めて気持ちを引き締めたいと思っている今日この頃です。
寒さも本格化して来ました。くれぐれもご自愛ください。次回の更新予定は12/7(木)です。
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