top of page
paper13.jpg

「握る力」からわかる色んなこと


 

「握る」という動作は枝につかまって生活している鳥などにもみられますが、それ以外の動物ではサルの仲間などかなり高等な部類に限られていますので、この能力はその動物本来の知能とも関係しているかもしれません。


ヒトの赤ちゃんは生まれてすぐにおもちゃを握って遊び始めます。


また高齢者の施設ではにぎにぎ体操などがよく行われていて認知症の予防にも効果があると言われています。


握力という指標は下肢や上肢のパワーとは違って単純な筋力以上の意味が含まれています。


改めて手のひらを眺めてみれば、中指を頂点として左右に並んでいる指はひとえに「握る」という動作のために設計されていることがわかります(手のしわである「手相」にしても握るためのしくみのひとつです)。


サルたちはバナナの皮を剥いて食べることができるのでその他の動物にくらべれば相当器用ですが、それ以上に細かい作業をすることは難しそうです。


一方、スマホの操作などを見ても明らかなようにヒトの手先の器用さは図抜けています。


私には少々楽器を弾く趣味がありますが、音楽仲間の平均年齢が上がって行くにつれて指のトラブルは最も頻繁に出会うもののひとつです。


指の関節がこわばってしまって伸縮の自由が利きにくくなることに悩まされる人がすくなくありません。


一方、加齢とともに如実に感じるのはペットボトルのフタが開けにくくなることですが、これはより握る力そのものに直結した変化です。


これらは老化現象ですのである程度は仕方のないことではありますが、それでも意識的に手指をマッサージしてほぐすとか握力トレーニングの器具を座右において握る動作をこまめに行うなどの方法で改善できる部分も大きいと思います。


握力は単なる手指・手のひらの筋力ではなく脳神経や全身の状態も表している、ということは加齢ケアの観点からもっと意識されてもよいことでしょう。


HMBという成分は必須アミノ酸のロイシンが体内で変化してできる物質ですが、握力が高い人の血中のHMB濃度は高いことが知られています。


トレーニングとともにこのような栄養素をしっかり摂取することもまた握力QOLの維持のためには必要なことだと考えられます。 次回の更新は10/27(木)です。

記事を探す

bottom of page