top of page
paper13.jpg

ロボットとヒトのちがい(3)


 

現代人の生活に欠かせないスマホですが、これが世に出てきたときに私はこれがケータイではなくパソコンの一種なのだということがわかりませんでした。 それまでのいわゆるガラケーでもある程度ニュースが見られたり写真が取れたりしましたから、それが少し進化したものだろうくらいに考えていたのです。 ところが、さにあらずでこれは電話のできるパソコンだったわけです。 今からまだ30年くらい前までであれば現在のスマホ一台のパフォーマンスを出そうとすればきっと大きめの会議室くらいのスペースと巨大な電力や空調が必要だったと思います。 それが手のひらに収まるということはまさに革命的です。 その大きな規模のちがいを生み出す要素のひとつは「集積回路」にあることはまちがいないでしょう。 昔はニクロム線のような電線であちこちをつないでいたのですが今のスマホにはそういうものはなく、ミクロン単位で配線された複雑な回路が働いています。 その集積度が爆発的に上がったことで超小型化が進んでおり、その速度や程度はまだこれからも想像できないくらいに進化して行くに相違ありません。 ロボットにもそういう回路が当然含まれておりドローンだとかEV自動車などは飛んだり走ったりするパソコンそのものです。 ここで話を生物に戻します。生物はどのくらいの集積度を持っているでしょうか。 私たちが目にする動物といえば小さな昆虫で1㎜くらい、そして大きなクジラやゾウなどでは10メートルくらいのオーダーです。 なのでその差はだいたい1万倍くらいに納まります。 しかしながらクジラも昆虫もその最小単位である細胞になると10μm、細菌などでは1μmくらいしかありません。 遺伝子を格納している核の大きさにしても1-5μm程度です。 しかしその中に入っている情報量たるや人間の一生のストーリーを作ってしまうくらいすさまじい規模のものです。 またその質量がいかに小さいかはさらに驚くべきことで、これは少々集積回路が進化しても到底追付けるとは思われません。 というわけで、鉄腕アトムのようなロボットを分解したとき、そこにいくら小さな部品がたくさんあるからと言って生物の細胞や核の集積度からすれば「大雑把もいいとこ」ということになります。 さらにすごいところはそういう極微の遺伝情報が必要な時に必要な部分を必要なだけ引き出して働かせる仕組みがあること、さらにそれを全体的に統合して「自然な動き」「自然な思考」を生み出し最終的には恋愛感情まで発揮して完全コピーではない微妙なハイブリッドを際限なく作り出して進化してしまうこと・・・このように考えるとほんとうに気が遠くなりそうです。 というわけでロボットがいくら進化してもやはり生物には根本のところで到底かなわないという結論に行きつきます。 ただこのことと、AI将棋がヒトより強いとか、Googleが収納して行く情報量は24時間加速し続けているとかいうことはまた別の話です。 AIにとってかわられる仕事は何か?という問いかけをよく耳目にしますが、そういうことに不安を覚えることなくヒトはヒトらしくAIを使いこなせばよいだけだと思います。次回の更新は8/4(木)です。


記事を探す

bottom of page