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欧米式の食事がなぜ大腸癌の原因になりやすいのか?

消化の良いものを食べる」ということは基本的な養生方法として知られてきました。


食べ物は食道から胃、十二指腸、小腸、大腸と通過して行きます。


「消化に良い食べ物」とはおそらく小腸までですべて吸収されてしまうようなもののことを指すのでしょう。


小腸は数メートルもある非常に長いトンネルですが、ここを通過する時間内に栄養素を吸収しておかなければそのあとの大腸では間に合いません。


けれども逆に言えば消化の良いものばかり食べていたら大腸に届くものがほとんどなくなってしまいます。


腸内には1~2㎏におよぶ腸内細菌が棲んでいます。


細胞の数で比較するとヒトの細胞全体よりもはるかに多い量です。


この腸内細菌の本当の役割りがわかってきたのはここ20-30年ほどのこと、それまでは腸内細菌も一般的な病原菌とおなじく「バイ菌」とみなされ時に殺菌の対象にさえされていました。


腸内細菌も大切だという考え方も一角にしっかりと存在はしていましたが、それでもせいぜいおなかの調子を整える上で「どちらかというとあっても良い」という程度のことでした。


その「あっても良い」が「あった方が良い」さらに「なくてはならない」に変わってきたのがここ20年ほどのことです。


今日わかってきた腸内細菌の仕事は主に大腸に到達した栄養素を分解して酢酸、酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を生成することです。


この短鎖脂肪酸は吸収されて免疫系に働きかけたり、脳の視床下部と交信して自律神経を整えたりします。


同時に腸内細菌自身にとっての重要な栄養素ともなり、必要十分に与えられた状況では多種類のメンバーで構成される全体のバランスも良くなってたまたま闖入してきた見慣れない病原菌などの増殖を抑えてくれることにもつながります。


便秘や下痢になると自覚症状として「体調が悪い」と感じるものですが、それは単に便通の良し悪しという以上の意味があるわけです。


ですからたとえば抗生物質を使いすぎると腸内細菌が乱れてしまうことは避けられず、おなかの調子のみならず精神面や免疫系など全身に不調が出てきてしまいます。


このように考えてくると「消化の良いもの」だけを食べていると腸内細菌を養うことができず、たいへん都合の悪いことになってしまいます。


欧米式の食生活が大腸癌の原因になるといわれる一つの理由は「消化の良いもの」の割合が高いということだと考えられます。


ここから「消化に悪い食べ物」の重要性が明らかになってきます。


次回はこのことについて考えてみようと思います。次回の更新は9/21(木)です。

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