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生きた細胞と死んだ細胞を食べること

私たちが毎日食べている食材はそれが動物由来であれ植物由来であれ、あるいは採れたての作物であれ漬物や干物のようなものであれすべて何らかの「細胞」を食べていることにほぼ例外はありません。

 

細胞はそれを形成している植物の細胞壁や動物の細胞膜のようなもの、及び細胞の中に含まれている無数の成分でできているので、細胞を食べるということは結局それらを消化吸収し、その残りを排泄することになります。

 

細胞にはそれを生きたまま(またはそれに近い状態で)食べるのか、もしくは完全に死んでしまったものを食べるのかという違いがあります。

 

ここで考えてみたいのは鮮度です。

 

新鮮な野菜や生け造りの刺身などは生きた細胞です。

 

植物は基本的に自分の身を守るための化学物質を持っており、これが毒性を発揮することがありますが一般に生野菜としての食経験のあるものにはヒトにとって有害な成分は含まれていません。

 

逆に抗酸化物質などは本来植物が護身の目的で生合成しているものをヒトがそれを頂いて健康に役立てていることが多いとも言えます。

 

抗酸化物質は長時間酸素に晒されるとその威力を失います。

 

なので、生で食べる野菜は極力新鮮なうちに食べることがポイントです。

 

魚やある種の内臓(レバーなど)もしばしば生で食べますが、こういったところには脂溶性のビタミン(A, D, E, K)やアスタキサンチンなどの抗酸化作用をもつ成分が含まれていて、これも健康に役立ちます。

 

ですが動物食材は新鮮なうちに加熱調理しないと短時間でバクテリアに汚染されてしまいいわゆる腐敗した状態になってしまいますので「新鮮なうちに食べる」ことの意味が植物とは少し異なります。

 

調理された動物食材は主にタンパク源としての役割が大きいので消化されてアミノ酸になれば十分、というわけで特に新鮮な(生きたままの状態のもの)でなくても栄養源としての意義は十分に尽くせます。

 

生きた細胞としての植物(野菜)を食べることの意味は前述のとおりですが、死んだ植物にも細胞壁の成分には大切な役割があります。

 

これらは大腸に到達して腸内細菌を養う栄養素(プレバイオティクス)になったり便のかさを増して便秘を防いだりしてくれるのです。

 

切り干し大根や干ぴょう、煮野菜、海藻類、シリアル、雑穀などはこのカテゴリーでは非常に重要な食材です。

 

また生きたままの状態で食べることで高い価値価値を狙ったものとしてはヨーグルトなど善玉腸内細菌食品(プロバイオティクス)が挙げられます。

 

これらは発酵生産物としての乳酸や酢酸など有益な栄養素を同時に供給してくれるものでもあります。

 

なにしろ「現在進行形の生き物」ですから賞味期限内に食べることが重要です。

 

このほか完全に死んだ菌類の細胞であるシイタケなど、天日干しにしてビタミンDを活性化させるなど特殊な方法で栄養価を高められるかなりの変わりダネの食材もあります。

 

何気なくスーパーで買ってきて食べている食材ですが少し「鮮度」ということを意識することでより効果的に栄養素を摂ることができるでしょう。

 

ちなみに野菜は収穫してから消費地に運ばれるまでの距離(時間)でかなり栄養素が減少してしまうことが知られていますので、「地産地消」が理想的だと考えられます。次回の更新予定は2/22(木)です。

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