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知っていて損のない知識「漢方薬の効果効能説明に書かれている症状」

医学が進んでくると、病気の原因を科学的に説明したり推移を予測したりできるようになります。


多くのことが診断数値で把握され、それに従って最も適切と思われる処置が決められる。


これのおかげで医療保険制度というものが成り立っています。


こういう流れではエビデンスに乏しい治療法はより新しいものにどんどん駆追されて行きますから、科学的に説明できない部分はどんどん減る一方である、こんなふうに考えられるかもしれません。


実際、昔はよく使われていたけれど今ではほとんどなくなってしまった医薬品もたくさんあります。


そんな中、いわゆる漢方薬というものはその効き目について「科学的な説明」がなくても立派に生き残っている、のみならずより積極的に使われるようにさえなっています。


考えてみればこれは時代の流れに逆らうような、ちょっと不思議な現象です。


ですが実は漢方が科学的に遅れているのではなく、逆に非常に進みすぎているので科学の方が追い付いていない、このように見た方が当たっている面もあるだろうと思います。


漢方薬のパッケージには大変具体的な症状が書かれています。


たとえば、皮膚に関するものを挙げてみましょう。


「体力中等度なものの皮膚疾患で、発疹があり、ときに化膿するもののつぎの諸症:急性皮膚疾患の初期、じんましん、湿疹、皮膚炎、水虫」⇒ 十味敗毒湯


「体力中等度以下で、冷え性で、皮膚が乾燥するものの次の諸症:湿疹・皮膚炎(分泌物の少ないもの)、かゆみ」 ⇒ 当帰飲子エキス


といった具合いです。


同じ皮膚のトラブルでも細かく分かれていますので、自分の症状に応じて選ぶことができます(もちろん医師や薬剤師に相談しても選んでもらえます)。


十味敗毒湯はその名の通り10種類の薬草から、当帰飲子エキスも同じく10種類の薬草から作られており、各々の成分の量も厳密に決められています。


これらは「科学的」なものではなく「経験的」なものです。


私たちはこれから先もこの経験的なものの価値を科学的に理解して行くことになるのかもしれません。


というわけで、一度代表的な漢方薬の効果効能にゆっくりと目を通されることをお勧めします。


人間の知恵の塊を利用しないのはかなりもったいないと思います。次回の更新は10/4(木)です。

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