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肝臓の仕事ぶりを想像できれば健康ポイントが大幅アップします


 

前回は身体の中でおこっていることを想像する


ことが健康のために役立つということについてお話しました。 今回はとくに肝臓でおこっていることをどのように想像すればよいかについて考えてみます。 肝臓は沈黙の臓器といわれるくらいその存在を感じにくいのですが、吸収された食べ物の多くが真っ先に向かうところ、それが肝臓です。 小腸を通して肝臓に運ばれてきた千差万別の物質は肝細胞の中でありとあらゆる化学反応にかけられ目的とする形に加工され、そのあと血流に乗って全身に送り届けられます。 吸収されるものの中には毒性のあるものも混じっていたりしますがそういうものは水に溶ける形に変えて腎臓に届け、ここで作られる尿に溶かし込んで体外に排泄されます。 食後(あるいは医薬品を飲んだ後)の肝臓細胞の中には処理すべき仕事が山のようにあり最も忙しくなります。 ですが、その大仕事が終わっても休んでいる暇はなく、さまざまな「閉店後の後始末」をしなければなりません。 たとえばブドウ糖が余っていたらそのまま放っておくと血糖値が上がりすぎますので繋ぎ合わせてグリコーゲンに変えて保管し「空腹時の蓄電池」にします。 肝臓の中で備蓄できるグリコーゲンの量は少ないのでそこが満杯になると、よりコンパクトに保管できるエネルギー源(脂肪酸)に作り替えてお腹や皮下に送り出します。 食物が入ってこないときには逆に備蓄しておいたグリコーゲンを燃料として拠出してエネルギーを全身に補充します。


それが尽きると体内の脂肪を呼び戻して燃焼させ、ハイオクガソリンのような燃料(ケトン体)を作り出します。 また場合によってはアミノ酸からブドウ糖を作って血糖を保たねばならない局面もあり、これも肝臓の重要な仕事のひとつです。 ちょっと特殊なところでは激しい筋トレをしてグリコーゲン(筋肉のブドウ糖原料)を使い果たし乳酸が溜まりすぎると筋細胞はガス欠を起こしてパワーが出せなくなります。 そんなときは筋肉で作られた乳酸を肝臓が引き受けてブドウ糖に変え、また筋肉に戻すといったサービスも提供しています。 肝臓ではこのようにさまざまな燃料を貯めたり作ったりしますが、肝臓自身が使う分はわずかなものでほとんどは他の臓器に回す博愛ぶりを発揮します。 お酒を飲むといつもよりエキストラの仕事が増えます。 その仕事をこなす時間帯はだいたい寝ている時なので肝臓は夜間突貫工事の様相を呈します。 さて、このような臨機応変、八面六臂の活躍をしている肝臓が24時間順調に機能しているときには体調がよいので、得てしてその存在は忘れられてしまいます。 あらゆる臓器の上流に位置しながらこれだけの役割を果たしている肝臓がエンストを起こすとたちまちあちこちの下流の臓器にアラームが鳴り、トラブルが続出します。 ですから健康診断で肝機能の数値がよいかどうかは特に注視すべきところです。 普段の生活で肝臓がいまどんな仕事をしているのか?ということは食後、食間、食前、絶食時、運動時(有酸素運動か無酸素運動か)、アルコールを飲んでいるかどうか、どの程度飲んだか、いつ飲んだかというように自分の食と運動の状態に意識を向けると想像しやすくなります。 沈黙の博愛臓器に無理をさせないためにはそのような想像力を持てるかどうかが相当大きなポイントになります。 ダイエットに成功するにも、メタボを克服するにも、フルマラソンを走り切るにも肝臓を上手に使いこなすことがキーになります。次回の更新は12/1(木)です。






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